京都市は、人生を通して住み続けられる街なのか考えてみた~市外に就職する大学生にインタビューしました!~

京都市には30校以上の大学があり、「大学のまち・学生のまち」と呼ばれています。若者が多いため活気に溢れていて、大学付近は特ににぎわいがあります。学生向けに大盛りが特徴の飲食店もちらほら。昔は出町柳に、お金がない学生が皿洗いをするとタダになる王将(現:いのうえの餃子)もありましたよね。しかし、京都の大学に通っていたたくさんの若者たちが京都に就職せず、他府県に流出していくことが問題になっています。これは何故なのでしょう?

わたしが京都で仕事をする中で出会った優秀な学生である木村星陽(きむらせいよう)さんの考えが興味深かったので、卒業後の進路や、どのように進路を決めるに至ったかなどを詳しくインタビューさせていただきました。

立命館大学4回生の木村星陽さん(2026年1月時点)

京都で就職しなかった理由は?

KLK編集部

木村さん、本日はよろしくお願いします。木村さんとはもう2年の付き合いですね。京都外に就職されるとお聞きしましたが、その過程を詳しくお聞かせいただけませんでしょうか。

木村さん

よろしくお願いします。Kyoto Love. Kyotoさんとは僕が大学2年の時にイベントで出会って、その後私が書いた記事を連載していただき、本まで出していただいた関係性なんですよね。

KLK編集部

はい。大学生で本を出せるほど優秀な木村さんが京都から出ていってしまうことが悲しいので、本日京都市の未来のためにお聴き取りさせていただきたいと思います!

木村さんの著作について

木村さんの著作「京都でゼロから学生起業〜金もコネもアイデアもない学生による起業の始め方〜」は、起業は難しくないから気軽に学生起業してみよう!というユニークな着眼点によるビジネス書です。「金もコネもない学生」がどうやって起業するのか?ボランティア活動を通してコネクションを作るという方法など、腹黒いのか素直すぎるのか!?きらきら輝く若者だからこその発送と行動力が秀逸です。学生さんだけでなく、起業をしたいけど何からすれば良いのかわからない社会人にも読んでほしい一冊です。

「学生に1番おすすめの暇つぶしは起業である」~京都でゼロから学生起業~ – Kyoto Love. Kyoto 伝えたい京都
※1話はこちらからお読みいただけます。

KLK編集部

それでは質問です。就職先はどのあたりの地域ですか?

木村さん

東京で、事業開発をする仕事に就く予定です。

KLK編集部

都会に行かれるんですね!その企業にはどのような理由で就職されるのでしょうか?

木村さん

職種と、求めている経験が得られそうな環境であるかどうかを重視しました。ネームバリューや待遇に比重を置きすぎずに、配属された際の部署の人数や裁量権、配属部署が持つ予算などを考えながら総合的な判断で選びました。事業開発に取り組むうえでの環境が整っていた事が理由の一つです。

企業規模と業歴の長さがありつつも、グループ内にベンチャーキャピタルとコンサル会社を持っており、本業のも安定していることから、新規事業を作るうえでの予算とノウハウがあると考えたためです。

KLK編集部

さすが、立派な理由…!
では、京都市内で就職しなかった理由は、ずばり何でしょう?

木村さん

難しいですね。京都市で就職しないという気持ちで選択をしたわけではなく、自分の中で勤務地以外の条件のほうが優先度が高かったんです。その中で、優先したい条件に合う企業が京都では見つからなかったということになります。

KLK編集部

就職活動において、京都市内で気になった企業はありましたか?

木村さん

京都に事業所があるというところでいくと、後払い決済のサービスを展開されているA社、加工製品の専門商社であるB社に魅力を感じてお話をさせていただきました。

後払い決済のパイオニアであるA社は、組織戦略でも管理職を廃止するなどのユニークな人事戦略をとっていて、どの社員さんとお話していても尊敬できる方々ばかりでした。
B社は町工場と完成品メーカーのそれぞれと多数の契約を結んでいる会社で、材料の仕入れから製造の進捗管理など多岐にわたって携われる仕事内容に魅力を感じていました。
 
特にA社は最後まで候補にあり、京都で働く可能性を自分に最後まで残してくれました。

KLK編集部

なるほど、最後まで可能性はあったんですね!

京都での学生生活はどうだった?

KLK編集部

京都市内で大学生活を送られたことについての、満足度はどのくらいでしょうか?

木村さん

非常に面白い経験ができたと思っております。

KLK編集部

何か印象的なエピソードはございますか?

木村さん

やはり御社で商業出版ができたことではないでしょうか(笑)
それだけでなく、信条や信念を大事にしている企業さんや個人が多いと感じました。自分と考えが合う合わないのどちらだとしても、退屈はしなかったですね。

KLK編集部

京都は上場企業であってもオーナーシップを発揮されている会社も多いですし、地域企業(中小企業)はなおさらです。オーナー企業だからこそその信条や信念がわかりやすく、だからユニークで退屈しなかったのでしょうね。

木村さん

私自身が大事にしたい価値観の1つに、信念や信条があります。合理化やコスパを求める現代ですが、実は求められているのは熱量なのではないかと思っています。だって、合理的とはほぼ真逆の「推し」という概念が定着し、非生産的とも言えるお金の使い方をする人が増えてきていますから。(あくまで一例ですが)

そういった意味で、京都のとんでもなくディープなところを無料でウェブサイトで発信し続けている企業があったり、7月になったら本業そっちのけで祇園祭に注力している企業がたくさんあるのが面白かったです。何をしていたら心地がいいか、何を大切にするために仕事をするのか。そんなことを考える機会がたくさんいただきました。

KLK編集部

京都の企業群のユニークさが、木村さんの価値観とも重なるところがあったのですね。Kyoto Love. Kyoto、祇園祭…弊社のこともそんな風に評価してくださってありがとうございます。
地元ではなく、京都の大学に入学されたのはどのような理由でしょうか?

木村さん

正直、成り行きです。自分は第1志望の大学に落ちて京都の大学に来ています。その中でも、当時の自分がいろんな可能性を考えながら、天秤にかけた結果が京都の大学に入学したことになっています。なので、当時京都の大学に行きたいという気持ちで選んだわけではなかったですね。

KLK編集部

なるほど。高校3年生だった木村さんの熟考の末の選択が、今につながったんですね。現役大学生の木村さんにとって京都という場所についてメリットやデメリットを感じることがあれば、是非教えてください。

木村さん

産官学の連携が盛んな点が面白いです。大企業やベンチャー企業、公的機関と、学校が運営しているイベントが多くありました。自分の学校とは別の学校が運営するものでも参加させてもらえましたね。特に京都は学生が多いので、学生を対象にするイベントじゃなかったとしても、対学生へのコミュニケーションを取ってくださる方が非常に多かったです。

また、東京や大阪ほど会社や人の数が多くないのも、機会の多さにつながると思います。多すぎると市場が成熟してしまいます。こうなると、自分の実力に見合った機会が多くなります。逆に言うと、自分の実力以上や見識以上のものが得られる機会には参加しづらくなります。京都はそういう点で、現状の自分に完璧にマッチせずとも、自身の価値観を広げる機会に、参加しやすいのが非常に良いですね。

KLK編集部

京都では自分の実力以上の人たちと接する機会に恵まれる」というのは、極言ともいえますね!

木村さん

そういった意味においては、なんとなく東京に行くという選択肢を取る新卒の人は、なんとなく京都に来てもいいんじゃないかなとも思います。私みたいに、どうしてもこういう条件の場所に行きたいという気持ちで選ぶと、京都にその条件に該当する場所がなければ残りません。

ですが、特にそうした選択肢以外であれば、東京や大阪にある選択肢の9割ぐらいは京都にもあると思います。むしろ、就職をしてしまうと自分の仕事で関わる人、つまり、自分の価値観や能力に似通った人としか喋る機会はなかなか持てません。ですが、京都では先ほど述べたように、自分の想像の範囲の少し外にいる人とお話できる機会を多く持つことができます。そういった意味で、退屈しないと思いますね。

KLK編集部

先ほどは、京都では自分の実力以上のチャンスが廻ってくるという「レベルの上下」のお話でしたが、今度のは京都は多様性のレンジが広いというお話ですね。「自分に合う合わないとは別に京都は退屈しない街」というお話とも符合します。
そうか、「なんとなく京都」もアリですね!

木村さん

また、地方の大学生で就職を県外でしたいと考えている人にも京都がおすすめできます。大体そういう方って、なんとなくで東京に行っちゃいますから、一旦京都のことも選択肢に入れてもらえるようなアプローチがあればいいなと思いますね。

KLK編集部

「いけず」で排他的と思われがちな京都ですが、実は包容力や包摂性が高く、学生さんをはじめ「よそ者」に優しい街なんです!だからこそ行政や私たち企業がそれを学生さんたちにもっと伝えるアプローチをしなければいけませんよね。
最後に、木村さんはどのような人生を送りたいと思っておられますでしょうか?

なんと、木村さんは在学中に中小企業診断士にも合格されました
木村さん

わかりません!!(笑)強いて言うなら、1つの価値観に圧迫されることなく、常に新しい価値観を学び、柔軟に取り入れられる人間でありたいと思っています。素直さはいくつになっても失わないようにしたいですね。

あと、最近大事にしていることは、口を動かす量を減らして、行動量と実力をつける時間を増やすことです。SNSの発達で、誰でもさも「何者か」のように発言できるようになりました。ただ、実際に社会に付加価値を大きく提供している人はごくわずかだと感じます。きちんと実力をつけて、誠実に仕事をこなし、実績から見えるストーリーで信念がわかるような人生にしたいです。

KLK編集部

真面目で立派すぎる!今回は大学の街・京都が抱える学生流出問題の課題解決の大いなるヒントをいただけました。KLKとしても行政とともに木村さんのような学生が来てくれる、残ってくれるような京都になるように努力していきたいと思います。(もちろん弊社自身も)

企業は、京都の学生に何ができるのか

今回は、とても熱い信念をもった学生さんにお話を伺いました。自分が学生だったときとは比べ物にならない優秀さや行動力に何度も驚かされ、彼が来社するとその場がエネルギーで充ち溢れました。京都で就職しなくても、彼が京都で過ごした学生生活や思い出は消えません。彼の未来のどこかでは、京都で過ごした日々が活きてくれるでしょう。もしかすると社会人になってから、また一緒に仕事をすることがあるかもしれません。

私たち京都の企業ができるのは、学生さんと関わる機会には誠意をもって向き合うこと、心から応援させてもらうことです。今回の木村さんのように、京都の会社って個性的で面白いな~と思ってもらえることが、京都ではたらく魅力を伝える一歩なのかもしれません。

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この記事を書いたライター

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