前回のあらすじ

足利義昭と織田信長、2人を結びつけたのが光秀。この黄金トライアングルで上洛(京都に入ること)を果たし、義昭は念願の将軍の座に就き、信長は周辺大名に号令をかけるようになります。その功績で織田家の重役に抜擢された光秀はその後も実績をあげた、ついには秀吉をはじめ織田家の重臣たちをゴボウ抜きにし、一国一城の主となったのでした。

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※特に深い意味はないのですが、今回より連載の名称を変えました。今回の記事は「明智光秀をサクッと知る」の第3話になります。

名領主・光秀

年末のテレビ特番で「国民10万人がガチ投票!戦国武将総選挙」ってのがあり、我らが明智光秀は堂々ベストテン入りの9位でした。大河ドラマへの期待もあるのでしょうが、悪人イメージが強い光秀のランクインは少々意外でした。特に京都丹波地方での票が多く、光秀と福知山・亀岡には強い絆があったことがうかがえます。

信長の命により丹波地方を制圧した光秀は福知山と亀岡(現在の亀岡市)に城を築きます。領主となった光秀は治水に尽力し収穫高を増やしたり、借金をチャラにする徳政令を出したりするなど領民視線に立った政治を行い、人々から深く慕われました。

「あけちみつひで たんばをひろめ ひろめ たんばのふくちやま」

これは光秀を讃えるために作られた「福知山音頭」だそうです。福知山市には彼を神として祀った御霊神社もあります。また、亀岡市でも「亀岡光秀まつり」と称した武者行列が行われるなど、丹波においての光秀は英雄そのものです。信長が彼のことを「天下の面目をほどこした」と称賛したのも丹波領主出会ったこの時期のことでした。まさしく光秀絶頂期といえるでしょう。
 

 

本能寺への序曲

しかし、何ごとにも終わりは来るもの。ラブラブの関係だった光秀と信長にもやがて秋風が吹きはじめます。1582年、信長は長年の宿敵であった武田家を滅ぼし天下統一に王手をかけます。しかし、天下を目前にした信長は心変わりしたのか、光秀に辛くあたるようになりました。信長にとって光秀はまさに右腕ともいえる存在だったのですが、天下がみえてくる頃になると、その有能さよりもイヤ部分の方が目につきだしたのでしょう。光秀自身も出世し城も与えられるようになり、生来のプライドの高さがあからさまに出るようになったのかもしれません。

この関係は熟年離婚の図に似ています。長年連れ添った夫婦が子どもの自立や夫の定年など、ホッとする瞬間に急に相手が疎ましく思え、あとは離婚へまっしぐら。よくある話ですよね。他人事ではありません。それはともかく光秀はやること為すことにケチをつけられ、大勢の前で信長にボコボコにされるなど、再び辛酸なめ男の辛い日々がもどってきたのでした。

運命の日来たる

本能寺の変は日本史最大の事件として“歴史なんて大っ嫌い”の人にでも知られていますよね。このときの衝撃を現代に当てはめてみると「衆議院選挙で開票箱をあけてビックリ!共産党が過半数を占め政権奪取!!」くらいのインパクトかと。あるいはトランプゲーム大富豪の「革命」みたいなもんでしょうか。スケール小さすぎ…。とにかく天下がひっくり返った運命の一日をふり返ってみましょう。

1582年6月2日未明、信長の命により中国地方へ出発したはずの光秀軍13,000人は突如方向転換をし、京都本能寺に宿泊していた織田信長with100人足らずの信長軍団を襲撃します。このとき光秀が発した「敵は本能寺にあり!」と叫ぶシーンはおそらく大河ドラマのクライマックスとなるでしょう。ドラマでは兵士たちが「おーー!!」と意気揚々に掛け声をあげるのでしょうが、実際のところはどうでしょうか。「え?信長さまを攻撃するの?マジ?!ヤバくね?」といった空気と「よっしゃ!ここで信長を倒したら、俺らみんな褒美がガッポリ!」という空気の半々だったのではないでしょうか。

いずれにしても100倍以上の兵力で本能寺がとり囲まれます。しかも、かたや目を血走らせた戦闘モード全開の光秀軍に対し、信長軍は寝ぼけマナコ。「なんや朝っぱらから騒々しい。えっ!光秀の襲撃?ウソ!マジ?えらいこっちゃ!えっと、刀はどこだっけ?」てな感じだったのではないでしょうか。ハナっから勝負になるわけがありません。

このとき光秀の謀反をしった信長がつぶやいたひと言「是非に及ばず」は意味深です。「かくなる上はジタバタしても仕方ない」という信長の潔さを示すとともに、光秀への評価の高さがうかがえます。「光秀ほどの戦上手が攻めてきたのだ。逃げられる訳がない」ということです。

死を悟った信長は家臣を誰も近づけず、ひとり奥の間にこもり自刃します。稀代の英雄は苛烈な生きざまを象徴するかのように紅蓮の炎に包まれたまま、その生涯に幕を閉じました。織田信長、ときに49歳の夏でした。


さて、1/19からいよいよ大河ドラマ「麒麟がくる」が放送スタートしますね。本記事のvol①から読みかえすと、ドラマが2割増しくらいで楽しんでいただけるのではないかと勝手に思ってます。(たぶん、きっと、かもしれない、だったらいいなあ…です)
 

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