「京都の動物園でまったりほっこり」~京都市動物園の四月~

動物園で桜を楽しむ

四月一日、桜満開。京都はこの日あちらこちらで花見に出て歩く人の波であふれていた。
今年は京都で花見をしようと動物園の開花時期を先月から楽しみにしていた。お天気が心配ではあったが、この日とても気持ちの良い快晴となった。これが「お花見日和」と言っても良い日なのではないだろうか。

京都の桜

いつもは正面ゲートから入園するのだが、まずは動物園の外周を歩いて桜を眺めよう。外から見れば、桜に包まれた京都市動物園を楽しめる。
琵琶湖疏水沿いを、蹴上インクラインの方へ向かう。
琵琶湖疏水越しに動物園を見て歩くと、園の外周の桜並木越しにキリンを見つける。
おや?キリンさんがコチラに気づいてカメラ目線してくれている。桜とキリンの組み合わせは日本の動物園だからこその光景だなとホッコリ、キリンと一緒にお花見。

桜越しのキリン

琵琶湖疏水沿いに、蹴上インクラインへ

動物園の南側を流れる「琵琶湖疏水」では、桜の時期だけの観光船が観光客を沢山乗せて運航している。桜を見上げながら水の香りを感じる。心地よいだろうなと見ているコチラも気持ちが良い。

岡崎さくら回廊 十石舟めぐりと動物園の桜

蹴上インクラインまで来ると、動物園まで抜ける眺めは最高である。空と桜、琵琶湖疏水に蹴上インクライン。この時期だけの絶景にしばらく立ち止ってここでもお花見。

蹴上インクライン沿いの桜からの琵琶湖疏水

園内の桜は賑やかに

久しぶりに東エントランスを通り入園。こちら側から入るとすぐに目につくのが、一風変わったアニマルグッズを提供しているミライハウスさんである。売店と軽食が楽しめるのだが、今日はお花見弁当を持参しているので桜の下でお弁当を広げよう。

桜に彩られた園内

園内に入ると沢山の家族やカップルがお花見をしていたり、動物達の前で記念撮影をしたりと賑やかである。
園内でも、琵琶湖疏水沿いにベンチやテーブルが設置されており、水の流れや音を感じながらお弁当を広げて、まったりくつろぐことが出来る。

風に揺れる枝垂れ桜

空いているテーブルを探しながらキョロキョロしていると、チンパンジー展示エリアの前にとても美しい枝垂れ桜を見つけた。風に揺られながら、その薄い花びらが光を透かし淡いピンク色に輝く。
周りのソメイヨシノとは違った風情である。

日差しが透ける枝垂れ桜の花弁

ちょっと特別気分の花見弁当

丁度、席を立つ家族連れと入れ替わるように、ふれあい広場前のテーブルを確保した。
お昼は少し過ぎた頃でかなりお腹がすいていた。

遅くなったのには理由がある。実は京都駅でお花見弁当を探して1時間も迷ってしまったのだ。
せっかくの京都の動物園でのお花見。特別なお弁当を持って楽しみたい。そんな思いから、気づけば二つの弁当を抱えていた。

京料理 美濃吉 京小箱

お弁当の一つは、京都駅ビルにあるジェイアール京都伊勢丹の地下で購入した、京都の老舗割烹「京料理 美濃吉」の「京小箱」、京都のお花見の為に奮発しましたという意気込みのあらわれである。一品一品どのおかずも繊細でゆっくり時間をかけて花見の時間を楽しむのにとても適したお弁当であった。季節毎に内容が変わるということなので、今度は秋にでも売り場を覗いてみようかと思ってまた楽しみが増える。

もう一つのお弁当は、京都太秦映画村の役者さんやスタッフさん達のロケ弁当として親しまれた、「穂久彩 太秦」の「ロケ弁当」である。
シンプルなお弁当に見えるが、その素朴なおかずには手間がかかっていることがうかがえる絶品のお弁当であった。

穂久彩 太秦ロケ弁当

絶品のお弁当を二つと園内の桜を堪能したのだが、動物園の住人である動物達もおのおの桜の季節を楽しんでいるようだった。
帰り際、推しアニマルである「タテガミヤマアラシ」の「フランク」を覗きにいくと、キャベツの器に盛られた花見弁当でお食事の最中だった。今日は大勢の来園者で大賑わいだったね。「フランク」は花見弁当に夢中。モグモグモグモグ。両手で口へ運ぶその姿に癒やされる。モグモグモグその咀嚼する口元は、なんともいえない可愛さがある。
今日は一日充実した京都市動物園のお花見であった。

タテガミヤマアラシのフランク、それはお花見弁当かな

動物園でワークショップ「野生動物学のすすめ2022」

四月九日土曜日。土、日曜日の二日間、園内で行われる「野生動物学のすすめ2022」ワークショップの一日目に参加するべく開園時間に合わせてやってきた。先日、お花見に来た時と同じくとても天気が良く、京都市動物園のある岡崎公園は朝早くから賑やかである。

ワークショップの出発地点は、レクチャールーム。事前予約した親子連れが何組も席に座っており、始まるのを楽しそうに待っていた。

いよいよ始まるワークショップ

ワークショップのスタートは、福井先生について園内で見られる野生の生き物の観察である。
普段、動物園に来て野生の生き物を意識することは少ないので新鮮な気持ちで先生のあとについて色々教えてもらった。参加した親子連れも熱心に先生に質問をしてメモをとっている姿も見受けられた。

アテンドするのは京都府立大学の福井 亘先生

動物園内に生えている草花を知る

野生の生き物観察ツアーの終着点は園内に作られた田んぼである。ここでは毎年米作りが行われている。
すでに刈入れも終わり、次の作付けまでのおやすみ期間に入っている田んぼ。
園内で野生の動物達を見たあとは京都府立植物園の職員さんによる、植物観察会である。

京都府立植物園の職員の平塚 健一さん(左)と津田 桂子さん(右)が子供達の質問に答える

普段よく目にする雑草と言われる植物たちの多くには名前があり特徴がある。そんなことを教えてもらえるとても素敵な時間。参加した子供達は、色んな植物を見つけては京都府立植物園の職員さんに熱心に質問していた。
聞いたことをハンドブックに書き込む姿があちらこちらで見られた。

熱心にハンドブックに聞いたことをメモする様子

動物園のビオトープに住む生物を知る

植物の次は水の中の生物を観察しよう。田んぼの前に作られたビオトープでは、そこに生息する生きものを調べる為に特殊な採取キットをビオトープに投げ込んで水を採取していた。ロープを片手に採取用のキットを投げ込む動作に悪戦苦闘する子供達。すくい上げたその水に含まれる藻などをその度に小さな瓶に移し替える。
ここで野外活動は終了。採取した水を持って、レクチャールームへ。

京都市青少年科学センターの藤野 義人さんの指導でビオトープの水を採取する子供達

先ほど採取したビオトープの水を電子顕微鏡で覗く体験が行われた。
大人からすれば、とても久しぶりに見るであろう「ミジンコ」や「ミドリムシ」が大スクリーンに映し出された、「ミジンコ」のあの独特な忙しない動きは懐かしさまで感じてしまう。
子供達に配られたスマホで見る簡易顕微鏡レンズで、それぞれでビオトープ内に生息している命を観察することが出来た。初めて見る子供達はミジンコのその動きにキャッキャと興奮。

このワークショップでは、「動物」、「植物」、「水生生物」と盛りだくさんで、普段気にもとめない生きものたちの存在を肌で感じる体験ができた。参加したどの親子もとても楽しそうにレクチャールームをあとにした。

電子顕微鏡で映し出されたビオトープの生きもの

ワークショップ後のひとやすみ

私もレクチャールームを出て、ひとやすみ。土日祝日には園内で運営されている各々のショップがレクチャールーム前の広場にテントを建てて、「大きさの違うぬいぐるみがもらえるエアーくじ」や、「お弁当」や「ゾウさんソフト」の販売をしていて、賑やかで楽しい雰囲気に花を添えている。

正面エントランス2階の旬菜食健ひな野さんが提供する ゾウさんソフト

動き回って少し甘い物が欲しくなり、「ゾウさんソフト」を片手に園内散策。こないだまでピンク色に染まっていた園内に、一際鮮やかな黄色い花をつけたミモザの木を見つけた。この黄色いふわふわな丸っこい花が美しくて可愛い。「ゾウさんソフト」を味わいながらまったりと、ミモザの花が一枝にいくつ花をつけているか数える休日の動物園で過す昼下がり。思っているよりも早く溶け始めるソフトクリームに、少し日差しがまぶしかった。

レッサーパンダ舎前のミモザの木
[協力]
・京都市動物園 (HP)
〒606-8333 京都市左京区岡崎法勝寺町 岡崎公園内
TEL:075-771-0210 / FAX:075-752-1974
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この記事を書いたライター

兵庫県明石市在住

初めまして動物園 水族館 植物園 専門の撮影取材をしている動物園写真家(写真家/ライター)阪田真一です。
野生でない環境に暮らす彼らの表情や日常を始め、その飼育に関わる人や取り組みなどを取材しその魅力を伝えています。
@DIME(小学館)というWEBデジタルマガジンに、毎月『動物園』『水族館』の取材記事を掲載中。

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