M邸茶室

M邸茶室

「わび」に見いだされた竹 

“暗い”場所では視覚が鈍りますが、目に見えない分、聴覚・嗅覚・触覚・味覚が敏感になります。五感で一服のお茶を感じる環境を醸すのが茶室の役割ともなります。
茶事の初座では下地窓の外に簾が掛けられていますが、後座では取り外し、更に「突き上げ窓」を上げ、外光が取り入れられます。採光の調整で場面転換の演出が図られ、亭主と正客の間の程良い光量のスポットライトとなるのです。
ライブで例えると「照明さん」。場面に応じたライトの演出があってこそ、拙い演奏が助けられます。

「わび 」に見いだされた竹。素朴で自然で、節のある形がさりげなく主張をし、個性を眺められる素材として認められた竹。1本の中から美意識を感じさせるのが「銘竹 」であるとすれば、その原点は「わびの茶 」であると思えてきます。 
例えると、ライブハウスでの演奏がプロデューサーの目に留まりメジャーデビューを果たしたバンドのようなもの、なのかも。

写真協力:東京・森田知実様/M邸茶室(設計・岩崎建築研究室)

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この記事を書いたKLKライター

銘竹問屋四代目・ギタリスト
利田 淳司

 
1967年京都市生まれ。
関西学院大学法学部卒。
1915年創業の銘竹問屋・(有)竹平商店4代目、代表取締役。
NHK「BEGIN JAPANOLOGY」「美の壺」などのメディアへの出演や「第8回世界竹会議」の開催組織委員・「日本人の忘れ物知恵会議」のパネラー等を務め、日本の銘竹の美を海外・国内に向け発信する活動を行っている。

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利田 淳司

 
1967年京都市生まれ。
関西学院大学法学部卒。
1915年創業の銘竹問屋・(有)竹平商店4代目、代表取締役。
NHK「BEGIN JAPANOLOGY」「美の壺」などのメディアへの出演や「第8回世界竹会議」の開催組織委員・「日本人の忘れ物知恵会議」のパネラー等を務め、日本の銘竹の美を海外・国内に向け発信する活動を行っている。

|銘竹問屋四代目・ギタリスト|竹/明智藪/嵐山/祇園祭/ギター

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