2023年の祇園祭を迎えるにあたって、Kyoto Love. Kyoto(以下KLK)では夢の対談を実現しました。なんと八坂神社の野村明義宮司と公益財団法人祇園祭山鉾連合会の木村幾次郎理事長がそれぞれのお立場から「祇園祭とは何ぞや」を語っていただく豪華対談企画です。
京都を愛するメディアとしての冥利に尽きる全3部の対談模様をぜひお楽しみください。

木村理事長と野村宮司

木村理事長と野村宮司

八坂神社と祇園祭山鉾連合会

祇園祭にとってのオーソリティであるお二方ですが、それぞれはどのような組織なのか、そもそも祇園祭とは何なのか?京都ビギナーの方にもわかりやすくご説明したいと思います。

祇園祭とは

「祇園祭は京都市東山区の八坂神社(祇園社)の祭礼で、明治までは祇園御霊会(ぎおんごりょうえ、御霊会)と呼ばれた。貞観年間(9世紀)より続く京都の夏の風物詩である。祭行事は八坂神社が主催するものと、山鉾町が主催するものに大別される。」(Wikipediaより抜粋)

例年、7月17日の朝から昼にかけて京都市内を山鉾23基が巡行し(前祭)、夕刻に八坂神社から四条御旅所に神輿が渡ります。神輿はそのまま御旅所に1週間駐輿します。そして7月24日の朝から昼にかけて山鉾11基が巡行し(後祭)、夕刻に神輿が八坂神社に還ります。
八坂神社(3基の神輿)と山鉾連合会(各山鉾保存会)の34基の山鉾が別々に斎行されている祇園祭ですが、コロナ禍で山鉾巡行が中止になった2021年の祇園祭では、山鉾連合会と各山鉾保存会の役員が御旅所を目指して榊巡行をされたように大きな祇園祭は一体のものであると考えられます。

八坂(やさか)神社とは

「平安京遷都(794)以前より鎮座する古社で、「祇園さん」と呼ばれ親しまれております。主祭神の素戔嗚尊(すさのをのみこと)はあらゆる災いを祓う神様として信仰されており、境内には数多くの神様をお祀りしております。全国約2,300社鎮座する八坂神社、祇園信仰神社の総本社です。」
(八坂神社HPより)

八坂神社 西楼門

八坂神社 西楼門

画像提供:八坂神社

公益財団法人祇園祭山鉾連合会(やまほこれんごうかい)とは

(※以下、山鉾連合会と表記します。)
「その昔、祇園祭に山鉾を出す各町内の人々は、山鉾の自主性や独創性を競い合い、
巡行では我先にと順番を争って、常にもめ事を起こしておりました。そこで巡行における順番や、順路などについて各山鉾間で話し合うため、また補助を受け入れる組織として「祇園祭山鉾連合会」が設立されました。」
(公益財団法人祇園祭山鉾連合会HPより抜粋)

山鉾巡行

山鉾巡行

画像提供:公益財団法人祇園祭山鉾連合会

以上がそれぞれの定義になります。祇園祭は、八坂神社と山鉾連合会のそれぞれが主催するものなどが合わさって成立しているお祭なんですね。それぞれのトップである八坂神社の宮司様と山鉾連合会の理事長様に対談いただくということは、とっても貴重で豪華な機会なんです。そして令和5(2023)年は、お二方が就任してはじめての完全な形での祇園祭の斎行になります。聞き手は八坂神社中御座三若神輿会の役員でもあるKLK編集長の吉川忠男が務めます。別々に動いているように見える山鉾の祇園祭と八坂神社の祇園祭(神輿)の接点やルーツはどこにあるのでしょうか。この対談はあえて話し言葉のまま掲載しております。対談の雰囲気も合わせてぜひお楽しみください。

4年ぶりの完全な祇園祭

Kyoto Love. Kyoto(以下KLK) まずは今年の祇園祭についてお話を聞かせていただきます。昨年ま での3年間はコロナ禍で祇園祭を粛々と行うことになりましたが、今年ようやく4年ぶりに完全な形での斎行ということになりましたので、今年は昨年とは違うぞ!というところがあれば教えてください。

木村理事長「私自身の中では、あまり今年はこうだというような意識はございません。今まで60年にわたって祇園祭を経験してきましたので、普通のお祭があって当たり前という状態でした。反対に言うと、この3年間ほどがとても異常であったということですね。私の考えとしては、ようやく普通のお祭ができる。やっと当たり前のことができるようになったという感覚ですね。」

公益財団法人祇園祭山鉾連合会の木村幾次郎理事長

公益財団法人祇園祭山鉾連合会の木村幾次郎理事長

野村宮司「祇園祭の神社としての歴史は1150年余り続いておりまして、もともと疫病を鎮めるために始まったお祭です。今、コロナによって祭ができないというのは何かおかしいなと、何が変わったのかなというふうに考えています。昔の祭と今の祭がどう変わったせいで、もともと疫病を鎮めていた祭なのに疫病が鎮められなくなってしまったのかの原点に帰るというかね。やはり疫病を鎮める祭に戻したいという想いがあります。

今までの祭を極端に元に戻すということは、時代的にも社会的にも、コロナなどいろいろなことがあって難しいとは思いますけれども、今の環境の中で、疫病を鎮めるような仕組みを考えてできるだけ元に戻すために、じゃあ、今年何ができるかということです。
祇園祭が始まったのは祇園さんじゃなくて神泉苑ですよね。神泉苑は当時の平安京の龍神が住むいわゆるパワースポットです。朝廷の儀式がなされるところでもあり、そこで祇園祭が始まったといわれています。医療も医学もなかった時代に、神祇官の卜部日良麻呂という方に何とかしてほしいということで始まったわけですけれども、やはり水の祈りというか、水を浄化することによって疫病も鎮まるという自然の原理が始まりだと思うんです。

特に今年は空海さんが東寺を開かれて1200年です。その空海さんがご利用した神泉苑でもありますし、やはり水の信仰というものをもう一点見直してみたいなと考え、昨年から神泉苑さんと神事をやり始めました。今年はもう少ししっかりと見直しながら、水によって都を全て浄化していくような神事ができないかと考えております。」

八坂神社の野村明義宮司

八坂神社の野村明義宮司

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