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「京都市はいま、人口流出が深刻な課題となっており、税収も減少している」という話を聞いたことはありませんか?人口が流出しているということは、今住んでいる自分たちものうのうとしてはいられないのではないか。京都市から市外や他府県への移住を考えた方がいいのか?など心配される方も多いと思います。
京都市内の企業に勤め、京都を発信することを生業としている“京都好き”OLのわたし(39歳独身女性)もこのまま、京都市内に住み続けることができるのかと不安になります。ただ、漠然と心配しているよりは正しい情報を手に入れて、現実に向き合うことが得策です。
そもそも、どういう人たちが、どんな理由で京都市から流出しているのでしょうか?京都市の公式見解を見てみましょう。
京都の現状を確認する
京都市の厳しい話は聞きますが、実際はどのような状況なのでしょう。京都市公式サイトの情報を参考にしてみましょう。
人口流出について
https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000305499.html
参考:京都市情報館(京都市公式ホームページ)「京都市の人口について」
人口の流出では「就職期」の東京等への転出、「結婚・子育て期」の転出が顕著です。後者の転出の要因としては住宅確保の難しさが大きいみたいですね。
都心部の人口は増加していますが、郊外の住宅地では減少しています。また北部山間地域の過疎化も進んでいます。ただ、留学生等の外国の方の転入は増加しています。他にもどの世代がどこに転入・転出しているかというデータがあり興味深いです。
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赤字について
https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000276230.html
参考:京都市情報館(京都市公式ホームページ)「本市の財政状況」
令和5年度決算は、公債償還基金(借金返済に充てるための積立金)を取り崩すことなく黒字を達成したとのことです。良い方向にむかっているようで少し安心しました。なぜ短期間で財政を改善できたのかということについても関連ページで解説されていています。ふるさと納税寄付金の分野でも頑張っているみたいですね。また、職員数を2年間で324人減らしたとありますが、市民としては行政サービスの質が下がりそうで心配な部分ではあります。
その他の問題
他にも、インバウンドで人々がそこらじゅうに溢れていたり、市バスが乗車困難になっていたり・・・観光にまつわる問題もでてきていますね。
https://kyotolove.kyoto/I0000632
「外国人観光客をきちんと京都に迎え入れるために ~京都観光に関わる者として思うこと~」
以前にこの問題について書いた記事がありますので是非お目通しください。
京都に住み続けたいという想い
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京都在住といっても、人によって住んでいる理由は異なります。「たまたま実家が京都で、親戚や友達もたくさんいるから、住みやすくてずっと住んでいるよ」という方が大半でしょう。
わたしは京都市右京区の生まれですが、大学時代は片道2時間半かけて大阪へ通学していました。そして就職したのが城陽市だったので、家を6時に出て城陽へ通勤していました。なかなか大変で、通勤通学にはもう飽き飽きしたものです。。
しかし20代なかばに実家を出て、一人暮らしをするために選んだのが京都市東山区の清水五条でした。引っ越してなお、城陽市まで通うのはかなりの距離がありましたが、清水五条が好きだったのと友達が住んでいた安いアパートを紹介してもらったので決めました。
この時点から、わたしは自分の意志で京都市内に住むことを決めたのです。職場は遠くても、市内に住み続けたいという気持ちがあったからです。
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その後転職をし、市内で働くようになり、北区や上京区に引っ越しもしました。実家はもうありませんので、いまは自分のためだけに住んでいます。
つまりわたしは、たまたま市内に住んでいるからそこで働いてるのではなく、人生の途中から意識的に、自分のために京都市内で住んで働くことを選びました。京都市北区の御土居内の会社(現勤務先)に入社できた時はガッツポーズを決めました。なぜかって「京都」という存在が好きで、こだわりがあり、洛中への憧れを持っていたからです。
https://kyotolove.kyoto/I0000618
「京都カーストは本当に存在するのか~西京極から見た京都カースト~」
※このあたりの繊細な洛中洛外意識はこちらの記事をご確認ください。
このように京都への想いを持って住み続けてきたわたしも、30代半ばから考えるようになりました。
「この先の人生、“京都好き”というだけで京都に住み続けることができるのか、京都市は人生を通して住み続けることができる街なのか?」
ライフステージと京都
冒頭で、京都市から流出している人を調べましたが、以下の2つが顕著でした。
①「就職期」の東京等への転出
②「結婚・子育て期」の転出
わたしはまさに②の年代で、人より遅めだとは思いますが「結婚」について考えるタイミングです。もし結婚して家を買うなら、京都市内では金銭的に厳しいのではないか。京都市外の方がお得なのではないか、広い家に住めるのではないかなどと考えます。
つまり、自分のライフステージが変わることによって京都から出ていかないといけないかもしれないという状況にあります。ただ、結婚といっても「別居婚」など様々な形態がありますし、その場合は単身者として京都で暮らし続けられるでしょう。しかし老後の住居まで考えるとそのままでもいけない気がしています。また、リモートワークというわけでもないので働き先との距離も考慮に入れねばなりません。
また、①は大学生の問題です。京都には全国から優秀な若者がたくさん来てくれますが、働き先が少ないため、多くの学生が実家に帰ったり東京・大阪に出ていきます。京都という土地柄を気に入ってくれる方が多いのに、これはとても勿体ない話です。
京都は歴史があり、風土も美しく、観光の方たちがこぞって訪れる本当に素敵なところです。しかし、一部の年代の人には住み続けられない理由もあります。わたしはこれからの京都市のため、この問題について自分の人生を一つの実例としながら向き合っていきたいと考えています。
参考文献:未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること 河合雅司(講談社現代新書)