それからもう一つ。できたらお詣りは1つか、せめて2つくらいの神社さんにしてほしい。はしごはあんまりご利益の効率がええことありません。

夏越の大祓って、京都だけやのうて全国の神社さんでやらはりますよね。もちろん京都の神社さんは行事の大小は別にして、まずやらはる神事です。すると京都には神社がたくさんあるのであっちこっち行きたくなるんですよねぇ。茅の輪くぐりとかお焚き上げはインスタ映えするし。そんなシーンを撮りに来る方もわんさか来やはります。

気持ちはとってもわかるんですよ。私も写真撮りますしね。でも、これはイベントやなくて神事。撮ったら神事にも参加してほしいですね。

で、この夏越の大祓神事は必ず6月30日に行われますが、開始時間はほとんどが15時以降です。それぞれの神社さんが同時に行わはるようなタイミングなんです。ていうことは、他の神社さんの神事のはしごをしようと思ったら、1つ1つの神事に参加してる時間が短こうなってしまうんですよ。うっかりしたら最後まで終わらんうちに次に行かんとあかん。それでは効き目も薄れてしまいますわなぁ…

外から来た方などは、氏神さんやのうてもせめて「今年はここの神社さんで厄払おう」と思って、じっくり神様にお願いしてください。神さんもきっと「おっ!」て目を留めてくれやはります。あるいは30日の神事にこだわらへんのやったら、30日より前にちょっとずついろんな神社で茅の輪くぐりしとく、ていう手はありますな。

茅の輪くぐりのあの「タブー」

さぁいよいよ厄かぶりするかどうかの問題です。

京都人度チェック⑤-3
「茅の輪くぐり」のときにしてはいけないことはなんでしょう?

これは最近かなり言われるようになったことですが、まだまだやってる方多いです。

答えは
「茅の輪を抜いて帰ること!」

これ、神社さんホンマに困ったはります。自分がくぐったあと、自分で小さい茅の輪作るために抜く人がいるんですね。みんなが抜いたら何が起こるかというと、茅の輪が無くなります。無くなったらどうなります?

あとから来る人が茅の輪をくぐれんようになるんですね。

天神さん(北野天満宮)が特にひどい!前日夜から準備しやはった茅の輪が、翌日お昼にはずんべらぼんになって、上の部分しか残ってないんです!

しまいにはこんなふうに…
横の竹が見苦しいし、そのままにしとくと危ないので取り除くのやと、神官の方が悲しそうにおっしゃっていました。

天神さんは、何十年も前から抜いて帰る人が多いんです。横に立て看板があっても、メガホンで叫んだはっても抜いていかはります。

これは
「持ち帰った茅を輪にして飾っておいたら病にかからへん」

ていう「誤った」民間風習が生まれてしもたからなんです。

私は小さいころから毎月25日、母に連れられて天神さんにお詣りに行きましたが、茅の輪が設置される6月25日には母からいつもこう言われてました。

「この茅の輪は抜いたらあかんのえ。茅には、ここをくぐらはった人の厄が全部吸い込まれてるのん。そんなもん持って帰ったら家が厄だらけになるやろ?絶対あかんえ。わかったか!」

そらもう返事するまで言われましたし、よっぽど「やったらあかん」ことなんやなぁと、子ども心にも思ったもんです。

神官の方も言うたはります
「民間の風習はなかなかすぐには変わらないだろう。でも、この神事は古来からずっとこの形できている。だから、茅の輪を抜く人が多いからそのような形に神事が変わっていく、というようなことはこの先も絶対ない。」と。

そしたら、持って帰りたい方はどうしたらええのかというと、茅の輪のお守りを授与してもろてください。ちゃんとご祈祷してあるので安心ですよ!

他の神社さんでも茅の輪守りはありますし、中には八坂神社さんのように持ち帰り専用の茅を置いてあるところもあります。(注) 西院の春日神社さんも抜かれることが多くなってきたようで、抜かんように茅の輪くぐりの看板には注意書きがしてあるそうです。

ひとつ例外なのは建勲神社さん。こちらの茅の輪の茅は持ち帰れます。ただし、全員がくぐったあとです。解体して持ち帰れるようにされるそうです。こちらはそういう習わしということですし、きっと「みんながくぐる」ということを大事にされてるのやと思いますね。ただし、いくら持ち帰れるというても途中で抜いたらあかんのですよ。

あぁしかし今年は特に吸い取っていただきたい、あのコロナウイルスを!なので、すべての方々が厄を祓うことができるよう作法を守って、厄をかぶらんように「夏越の大祓」をしてくださいね!

みなさんに神様のご加護がありますように。コロナ退散!疫病退散!!

(注)今年はコロナ感染対策のため、八坂神社さんの持ち帰り用の茅は無いそうです。

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この記事を書いたKLKライター

鳴橋庵 店主・京都上京KOTO-継の会 会長
鳴橋 明美

 
上京の、形になりにくい文化(お祭・京都のおかず・伝統工芸・京ことば)の継承のお手伝いをする「京都上京KOTO-継の会」会長。
「鳴橋庵」店主。
「能舞台フェスタ in 今宮御旅所」実行委員会会長。

組紐とお抹茶体験を鳴橋庵店舗にて行っております。
合間合間に京都のお話を挟みつつ、楽しく体験していただけます。
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