供養に訪れた西行法師

崇徳院の御遺骨は、白峰寺の近くに埋葬されましたが、御陵は石を積んだだけの粗末なものでした。
地元讃岐では朝廷の意志とは別に、崇徳院の近従者が白峯寺境内に頓証寺を建立し、崇徳院の菩提を祀いました。
ただ崩御数年後、供養に訪れた西行法師は埋葬場所も分からない状況だったといいます。

西行法師は天皇を守る北面の武士で、和歌にも通じており崇徳院とは交流があり、出家後に崇徳院の霊を慰めるため訪れました。
頓証寺に西行が訪れると崇徳院が現れ、「松山や 浪に流れて こし船の やがて空しく なりにけるかな」と詠われ、西行が涙を流して返歌に「よしや君 昔の玉の 床とても かからん後は 何にかはせん」をすると、御廟が振動したと伝わっています。

ホトトギスと院との交流

白峰には玉章木(たまずさのき)の伝説が残っています。
都を慕われた崇徳院はホトトギスの鳴き声にも都を偲ばれ、「鳴けば聞く 聞けば都の 恋しきに この里過ぎよ 山ホトトギス」と詠じられました。
ホトトギスはその意味を察して、その後はこの大木の葉を巻いてくちばしを差し入れ、声を忍んで泣いたといいます。
その巻いた葉の形が玉章(手紙)に似ているため、ホトトギスの落し文と呼ばれ、その葉を懐中にすれば良い文があるとされています。

崇徳院の崩御後に怨念が爆発

配流後も崩御後も、後白河院は崇徳院を完全に罪人として扱い、服喪もしませんでした。
しかし崩御の翌年には後白河院の皇子の二条天皇が、また次代の六条天皇の摂政が亡くなりました。

崩御12年後から後白河院の近親者が相次いで亡くなり、崇徳院の怨霊が意識されるようになりました。
更に翌年には京都で大火(太郎焼亡)が起こり、京都市内の1/3が焼け落ち大極殿も焼失します。
翌年にも大火(次郎焼亡)が起こりました。
二つの大火と崇徳院の怨霊とを結び付けて考えたのは他ならぬ後白河院でした。
これ以降崇徳院の鎮魂が進められ、讃岐院に代わり、讃岐に崇徳という諡号(しごう,天皇を称えた号)が初めて贈られました。

このような後白河院の対応の遅れが後の世まで尾をひき、怨霊が定着していきました。
白峰御陵の入り口近くには、保元の乱で敵方であった源義朝の子の頼朝により、崇徳院の菩提を弔うため十三重石塔が建てられています。

参考資料
関 裕二. 2003. 呪う天皇の暗号.新潮文庫.
竹田恒泰.2011.怨霊になった天皇.小学館文庫.
梅原 猛.1972.隠された十字架―法隆寺論.新潮社.
Twitter Facebook

この記事を書いたKLKライター

京都府立大学 名誉教授
藤目 幸擴

 
生年月日:1945年(昭和20年)1月5日

現職
京都府立大学 名誉教授、タキイ財団 理事、NPO 京の農・園芸福祉研究会 理事長、(一財)京都園芸倶楽部 会長

主な経歴 
1969年 京都大学大学院農学研究科修士課程修了、香川大学・京都府立大学教授を歴任
1982年 京都大学農学博士
1984年 園芸学会賞奨励賞
2008年 京都府立大学農学部定年退官・名誉教授
1985~1986年 ケニア・ジョモケニヤッタ農工大学へ出張(国際協力機構) 
1993~1994年 英国ロンドン大学を中心に欧米7カ国 へ出張(文部省長期在外派遣)
1997年 デンマーク植物と土壌科学研究所へ出張(学術振興会派遣研究員)
この間に欧米、アジアなど約30カ国での国際シンポジウムに参加すると共に、留学生10名に学位論文の指導を行う

主な著書  
Q&A 絵で見る野菜の育ち方、農文協、2005
野菜の発育と栽培、農文協、2006
ブロッコリーとカリフラワーの絵本、農文協、2007
ブロッコリーの生理生態と生産事例、誠文堂新光社、2010
ブロッコリーとカリフラワーの作業便利帳、農文協、2010
はじめてのイタリア野菜、農文協、2015
「おいしい彩り野菜のつくりかた」(監修) 農文協、2018

記事一覧
  

関連するキーワード

藤目 幸擴

 
生年月日:1945年(昭和20年)1月5日

現職
京都府立大学 名誉教授、タキイ財団 理事、NPO 京の農・園芸福祉研究会 理事長、(一財)京都園芸倶楽部 会長

主な経歴 
1969年 京都大学大学院農学研究科修士課程修了、香川大学・京都府立大学教授を歴任
1982年 京都大学農学博士
1984年 園芸学会賞奨励賞
2008年 京都府立大学農学部定年退官・名誉教授
1985~1986年 ケニア・ジョモケニヤッタ農工大学へ出張(国際協力機構) 
1993~1994年 英国ロンドン大学を中心に欧米7カ国 へ出張(文部省長期在外派遣)
1997年 デンマーク植物と土壌科学研究所へ出張(学術振興会派遣研究員)
この間に欧米、アジアなど約30カ国での国際シンポジウムに参加すると共に、留学生10名に学位論文の指導を行う

主な著書  
Q&A 絵で見る野菜の育ち方、農文協、2005
野菜の発育と栽培、農文協、2006
ブロッコリーとカリフラワーの絵本、農文協、2007
ブロッコリーの生理生態と生産事例、誠文堂新光社、2010
ブロッコリーとカリフラワーの作業便利帳、農文協、2010
はじめてのイタリア野菜、農文協、2015
「おいしい彩り野菜のつくりかた」(監修) 農文協、2018

|京都府立大学 名誉教授|京野菜/伝統野菜

アクセスランキング

人気のある記事ランキング