「京都の動物園でまったりほっこり」〜 京都市動物園の一月 〜

二〇二二年一月二日

この日は、JR京都駅にお昼頃到着した。
JR京都駅の中央改札を通り、足早にバスのロータリーへ向かう。
京都駅を出ると、目の前には灯台をイメージして建てられたという「京都タワー」が出迎えてくれる。

京都駅 烏丸口バス乗り場の「A1」から出る「京都市バス 5号系統」に乗りこみ、目的地の「岡崎公園 動物園前」まで、およそ三十四分のプチ京都バス旅行気分。
バスからの景色は「四条河原町」の賑わいに心躍り、市役所前の「本能寺」に歴史を感じ、鴨川に架かる「御池大橋」からの川面の輝きに目を奪わる。京阪三条駅の交差点を曲がるとバス停前に古びた老舗食堂「篠田屋」が現れる。店の前に張られた看板メニューに食欲を掻き立てられながらも、さらにバスに揺られて進むと突如出現する「平安神宮の赤い大鳥居」の迫力に感動する。目的地のバス停はその大鳥居をくぐり抜け、その先を右に曲がったところだ。

「岡崎公園 動物園前」でバスを降りる。バスが去って行く方へ歩いて行くと、横断歩道の向こうに「京都市動物園」が見えてくる。
信号で立ち止ると、交差点の向こう側にいる何組もの家族連れが動物園に入って行くのが見える。すぐ側にある、平安神宮の初詣の帰りだろうか。周辺はとても賑やかだ。


 

お正月の園内

園内に入ると、来園記念撮影スポットのパネルが作り替えられていた。今年は寅年と言うこともあり干支につながりのありそうな動物達が描かれている。そこに描かれた動物達はとても優しそうな表情をしていた。毎年このパネルを見るのが楽しみでもある。

ちょうどパネルが置かれた向かいのレクチャールーム前に、イベント「干支のお話」を来園者に呼びかける笑顔の職員さん達を見つけた。これはお正月の一月二日と三日の二日間だけ行われる恒例行事なのだ。

何組もの家族連れが職員さんの手から「干支のお話」へ参加するための整理券を受け取っている。
お母さんに背中を押されて、職員さんに駆け寄る子供達。職員さんと目を合わすのは恥ずかしそうな様子で、小さな手を伸ばして整理券を受け取ると、回れ右をしてお母さんの元へ走って戻る姿があった。
動物園の中で見られるこういった光景にも「ほっこり」させられる。

楽しそうにイベントの案内をする職員さん達

絵本の読み聞かせ

「干支のお話」ではお正月や干支にちなんだ「絵本」が用意され、先ほど外で整理券を配っていた職員さんが読み聞かせをしてくれる。この日は、「お雑煮」をテーマにした「十二支のお雑煮」と、「トラ」が出てくる「ぼくのじまんのトラおじさん」を読んでくれた。

読み聞かせ上手な三家さん

職員さんがゆっくり優しい口調で読み上げる絵本を、最前列に用意された敷物の上で食い入るように見入っている子供達。その後ろの椅子では子供達を見守るお父さんお母さん達。その光景を後ろの壁際で見守る動物園の園長さん。

「お雑煮」と「トラ」の絵本を読み終わると、司会の飼育員さんが話しかける。
飼育員さん「みんな楽しかった。お話おぼえてるかな?」
こどもたち(手を上げてうなずく)
飼育員さん「ひとつめのお話は、なんのお話だった?」
こどもたち「おもち」「おぞうに」
飼育員さん「ふたつめは、なんのお話だった?」
こどもたち「トラおじさん」
飼育員さん「主人公のネコの名前なんだった。名前おぼえてるかな?」
こどもたち(???)
飼育員さん「マー なんだった」「マー」「食べ物みたいな名前」「マーマ」
こどもたち「マーマレード」
飼育員さん「そうそう、マーマレードだったね」

このとき、ほぼ答えを言ってしまっていて、言わせた感が漂ったことに、会場からも苦笑い。飼育員さんも吹き出し笑い。子供達との対話ではよくある光景だろう。

司会の米田さん

その後、司会の飼育員さんからは、京都市動物園にも干支であるトラが雄と雌の2頭いることが紹介された。
「もうトラみた?」と問いかけると、「みた」「みたぁ」といくつもの返事が会場に響いた。

今年の干支アムールトラのオク(雄)

さらに二月一日からは京都市動物園「7代目アニマル園長選挙」がおこなわれることが告げられ、寅年にちなんだ「トラ」「ネコ科」「キャット」などのキーワードから選んだ六種類、六頭を候補として告知された。その中の一種から、「ミーアキャット」の担当飼育員さんにマイクが渡された。


 

ミーアキャット

「ミーアキャット」の写真を持った、担当飼育員さん登場。

ミーアキャット飼育担当の福泉さん

飼育員さん「ミーアキャットってどんな動物か知ってるかな。京都市動物園にもいるんだけど、もうみたかな?」
こどもたち「みた」「みたぁ。」「いたぁ。」
飼育員さん「キャットって名前がついているけど、ネコの仲間ではないんだよ。実は、マングースっていう動物の仲間なんだよ。マングースって知らないかな。」
こどもたち ???
飼育員さん「難しいよね。じゃあ、みんなに質問。この写真を見て、ネコと違うところわかるかな。」
こどもたち「二本足で立つところ。」
飼育員さん「そうだね。なぜ立つのかというと、天敵が周りにいないかを見渡したり、太陽にお腹を向けて体を温めたりするために立っているんだよ。ほかにネコと違うところあるかな。」
こどもたち「耳がとんがってない。」
飼育員さん「そうだね、小さな耳が顔の上じゃなくて横についてるね。ミーアキャットは土を掘って生活をしているんだけど、こうなっていると穴を掘るときに邪魔にならないんだ。ほかには、ミーアキャットの足には4本ずつ鋭い爪が生えているんだよ。これは穴を掘るときにとても役に立つんだよ。」

ミーアキャットのホック(雌)

子供達は、ミーアキャットの飼育員さんの話に興味津々で目をキラキラさせていた。
お父さん、お母さんも、「へぇ」という表情を浮かべていた。

子供達や、お父さん、お母さんたちの興味をひいたそのとき、「ミーアキャット」の担当飼育員さんは、「ぜひ、アニマル園長選挙ではミーアキャットに投票してね」「今回選挙に出ているのは、ミーアキャットのロックっていう、少しつり目な子です。いま運動場に出ているので、この後ロックに会いに来てね。」と、担当飼育員さんは街頭演説のように「ミーアキャットのロック」を強く推す。この熱のこもる演説で「干支のお話」は終了となった。

レクチャールームを出ると少し風が冷たい。
子供達も満足げな表情で、お父さん、お母さん達と会場を後にする。
トラの動物舎の方へ向かう家族や、ミーアキャットを早速見に行くのだろうかアフリカの草原エリアへ足を向ける家族の姿があった。
せっかくだから私もミーアキャットのロックに会って帰ろう。

京都市動物園「7代目アニマル園長選挙」は二〇二二年二月一日から三月六日の期間で開催され、「選挙管理委員会」とのコラボレーションにより実際の「投票箱」使用して行われるとても本格的な選挙である。投票は京都市動物園に来園した方のみとなっているので、私も次回訪れた際は投票したいと思う。

「7代目のアニマル園長」はどのアニマルが当選するのだろうか。
楽しみである。

▶︎「京都の動物園でまったりほっこり」〜 京都市動物園の二月 〜

[協力]
・京都市動物園 (HP)
〒606-8333 京都市左京区岡崎法勝寺町 岡崎公園内
TEL:075-771-0210 / FAX:075-752-1974
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この記事を書いたライター

兵庫県明石市在住

初めまして動物園 水族館 植物園 専門の撮影取材をしている動物園写真家(写真家/ライター)阪田真一です。
野生でない環境に暮らす彼らの表情や日常を始め、その飼育に関わる人や取り組みなどを取材しその魅力を伝えています。
@DIME(小学館)というWEBデジタルマガジンに、毎月『動物園』『水族館』の取材記事を掲載中。

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