龍谷大学では1年に1度、学生主体の本格的な展覧会である「十二月展」が行われます。文学部の博物館実習生たちが①テーマの設定、②企画・調査、③展示品の収集(所有者からの借用や交渉を含む)、④展示設営、などの運営の全てを行うもので、一般的な博物館実習よりかなり踏み込んだ授業になっています。
50年以上の歴史があるこの展覧会の開催をKyoto Love. Kyoto編集部が追いかけました!前編の記事で龍谷大学「十二月展とは何か?」というご紹介をしたので、後編では2022年度の十二月展の様子をご紹介いたします。

↑前編はこちらからお読みください。
 

とうとう開催!2022年度 十二月展

十二月展幹事の龍谷大学4回生 大江さん(左)と古林さん(右)

十二月展幹事の龍谷大学4回生 大江さん(左)と古林さん(右)

4月から11月までの間に十二月展を企画し調査や準備をすすめてきた学生たちが、とうとう龍谷ミュージアムでの設営に入ります。その様子を下記動画からご覧ください。
何もないところから、本当に自分たちの手で展示を作っているところが記録されています。有名な吉田神社(追儺保存会)の「方相氏面」がでてきますね。すご~い!貴重な展示物を丁寧に扱いながら見事な展示を作っていきます。

Youtube「十二月展ができる迄」
Youtube「12月展について」

2022年の展示内容紹介

展示のようす

展示のようす

十二月展での展示テーマや内容は毎年異なり、学生たちが意見を出し合い自分たちで決めています。2022年度のテーマは「わざわいと人々~安寧来たれと願う今~」です。
人間の暮らしは災害や感染症などにおびやかされてきました。人々はそれらを人ならざるものとして具現化し、祈りを捧げることで退けようとしました。これを「禍」「災」「妖」「祈」という4章に分けて展示しています。このPVが分かりやすいのでぜひご覧ください。

Youtube「『わざわいと人々 ~安寧来たれと願う今~』PV」
Youtube「12月展について」

それでは章ごとに主な展示品をご紹介します。

 

一.禍(わざわい)

第一章では、病と向き合ってきた人々の様子や、病への様々な対処の仕方が紹介されました。

「続日本紀 第七巻」(龍谷大学大宮図書館)
疫病の流行をうけ、聖武天皇が仏法の力をもって民衆を救うために全国に国分寺・国文尼寺を建立することが記載されています。

「薬研」(阪本漢方堂薬局)
生薬を粉末化するための道具で、本資料は木製のものです。細長い舟形で中に深いくぼみがあり、これに生薬を入れ、押し砕いて粉にします。製薬用具ですが唐辛子、火薬、顔料などを粉末にするためにも使用されました。

「解体新書 第一巻」(龍谷大学大宮図書館)
日本最初の西洋解剖書の翻訳本で、日本の名医家たちが本書に学び医学の発達に偉大なる貢献をした貴重な資料です。

「人体解剖模型 M-一〇〇型」(京都科学)
1964年に京都府立医科大学の指導により開発・製品化された人体模型で、部位をさしかえることで男性・女性・中性と対応することができます。
 

二.災(わざわい)

第二章では地震、火災、洪水などの天災の記録から、過去にどのような災害があったのか、人々がどのように災害から逃れようとしたのかについて紹介されました。

「日本書紀 第七巻」(龍谷大学大宮図書館)
推古天皇7年(599)に起こった地震により建造物が倒壊したため、日本中で地震の神を祭ったと記されています。日本最古の被害記録が残る地震とされています。

「菅家文草 第八巻」(龍谷大学大宮図書館)
貞観13年(871)の官吏登用試験での出題「辨地震(地震を明らかにせよ)」に対する菅原道真の回答が書かれています。儒教・道教・仏教の各視点から地震を論じています。

「摂津大津波次第」(大阪くらしの今昔館)
嘉永7年(1854)に起きた安政南海地震および発生した津波による被害の状況を描いたかわら版で、被害の挿絵が描かれています。人々は地震が起こった直後に船に乗って逃げようとしましたが、木津川および安治川から逆流した津波に巻き込まれ被害が拡大しました。

「刺子防火帽」(京都府立消防学校)
町の消防団員が使っていた防火帽です。火事の際には綿布を重ね合わせて細かく縫った防火衣を全身にまとい、水をかぶって消火活動を行っていました。
 

三.妖(わざわい)

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