「令和五年祇園祭対談 八坂神社宮司 野村明義氏×祇園祭山鉾連合会理事長 木村幾次郎氏」 【第2部】祇園祭にまつわる難儀
祇園祭で見てほしいものは?
木村理事長「祇園祭というのは継承なので、このような大きな鉾や山という存在が現在まで継承されてきて、それが同じような形で動いているということは皆さんに見ていただきたいものの一つです。それから山鉾の組み立てというものは、今我々が考える以上に、いろんな形で科学的に考えられたものなんだろうなと思います。あんな大きなものを縄だけで組み立てて引っ張り回して、また解体してしまってということは、建物なんかでも免震構造といわれる五重塔が倒れないように設計されているという話もありますけど、ものすごく考えられた形であの形が最終残ったんだと思うんです。この頃、山鉾建てに見に来ていただける方も多くなったなと感じるようになりました。
そういう風なこととか、これからの祭においていろんな形で参考になるような部分が多々あるなっていうのを感じるところがありますから、祇園祭というのはそれだけいろんな形で見ていただけると非常に奥の深いものだろうなと思います。ただ単に巡行してて綺麗やなっていう形ではなく、ここまでになるには、かなりのいろんな紆余曲折があってこの完成形があるんだろうなと思いますんでね。そういう点で、昔の山鉾からこういう風な形になってきたということなんかを思っていただけると、非常に有難いです。」
野村宮司「普段見れないものを見てほしいですね。祇園祭は1ヶ月間あるので、いろんなものを見ていただきたいんですが、なんでそんなものが生まれてきて続けられているのかと。技術的なこともあれば、信仰的なこともいろいろあると思いますが、そこに人が集まって何しているのということですよね。
人が集まってくるのは確かなんですけど、もともとは疫病を鎮めるために始まった祭なのに、なんでこういうふうにできあがったのか。神輿があり、山鉾があり、それぞれに山鉾を動かすまでには町内のいろんな行事があるわけですよね。ひとつの形がどういうふうに整えられて、維持されて続けられてきているのかというような、ひとつひとつに奥深い問題意識を持っていただきたいなと思います。なんでこんなものが行われているんだ、続けられているんだと、そこには何があるんだということをもう少し興味や疑問を持って見ていただくとさらに面白く祭が見られるんじゃないでしょうか。
人間は祭ができないと疫病にかかりやすいというか、祭をやって元気をもらうものなので、祭を続けていくということは大事なことなんだということも、祇園祭を見て感じていただきたいです。」
<櫛名田比賣の像が奉納される>
この日の対談の席で、木村理事長から野村宮司へ八坂神社の御祭神である櫛稲田姫命(クシイナダヒメノミコト)の像「櫛名田比賣」が進呈されました。
骨董屋で奇跡的に出会った人形にご神意を感じ、八坂神社に奉納するおつもりでお求めになったものだとか。野村宮司も「大切にさせていただきます」とたいそうお喜びのご様子で、八坂神社の氏子としての木村理事長のお顔が印象的なひと幕でした。
対談写真撮影:今村写真場
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画像提供:公益財団法人祇園祭山鉾連合会