2023年の祇園祭にむけての夢の対談!八坂神社の野村明義宮司と公益財団法人祇園祭山鉾連合会の木村幾次郎理事長にそれぞれのお立場から「祇園祭とは何ぞや」を語っていただきます。

第2部では「祇園祭にまつわる難儀」をテーマにお話を伺いました。未読の方はぜひ下記からお読みください。

結びとなる第3部のテーマは「八坂神社と山鉾」についてです。
聞き手は八坂神社中御座三若神輿会の役員でもあるKyoto Love. Kyoto(以下KLK)編集長の吉川忠男が務めます。この対談はあえて話し言葉のまま掲載しております。対談の雰囲気も合わせてぜひお楽しみください。

画像提供:薬師洋行

八坂神社の祇園祭

KLK 第2部で木村理事長に「昭和の高度成長期は祭は二の次の風潮だった」と当時の危機感を語っていただきました。「観光か信仰か」で揺れた昭和の合同巡行のことも振り返りながら八坂神社にとっての祇園祭の意味を野村宮司に聞いてみたいですね。

野村宮司「祭を継承していきたいというのは、誰も同じでございまして、ただ社会的にも観光的にも構成的にも色々な変化がこれから先起こってくる中で、その祭をどういうふうにして伝え残していくかということですよね。
それが変な方向にいってしまうと、もともと発想した段階の祭の目的が変えられてしまうということにもなりかねません。山鉾巡行が合同巡行になったことがありました。前祭・後祭として復活しましたけれども、元に戻そうと思った時は大変な苦労がいるわけで、じゃあなんで合同巡行になったかというそれは行政の都合であったりします。観光を期待して、多くの方にご覧いただくためには大きな通りを通さなきゃいけない、時計回りを反時計回りにしなきゃいけないという祭の変更が行われるわけですね。そういう時に当時の宮司や氏子の人たちは反対したわけです。そんなことをすると疫病は鎮まらなくなるよということで反対したんですけど、でも行政の指示に従わざるを得なくて。
一旦長いものにまかれましょうということでまかれたわけですけれども、それが平成26年に後祭が復活して今に至っていると、今後これがまたどう変更されるかそれは分かりませんが、多くの方に見ていただいて、祭を理解していただくということは非常に大切なことなので、祭の意味を知っていただく。
本当の祭の根本的な原点、なんでこんな祭をしているのかということを忘れたまま変更されると、元に戻す時に戻せなくなるので、その辺をしっかりと神社は間違いのない方向に行くように、たとえ曲がったとしてもそれがいつか戻せられるようにしておきたいな、というのが大事です。

山鉾巡行

山鉾巡行

画像提供:公益財団法人祇園祭山鉾連合会

祇園祭の通説ってホント?

KLK 第2部での木村理事長のお話、そして今の野村宮司のお話を伺って、神社と連合会それぞれの当時の思いの違いやそれぞれの苦悩がよくわかりました。 ところで木村理事長は祇園祭中にもきゅうりを食べられるという噂を聞いたのですがそれはその通りでいらっしゃいますか?

木村理事長「いや、私が子供の頃にきゅうりを食べたらいけないという話は全くなかったんですよ。八坂神社のご神紋に遠慮してと言うけど、反対に遠慮するぐらいだったら食べて力をもらわないと意味がないのと違いますでしょうか。なんで遠慮するのかなと思っています。祇園祭の時季に一番いいきゅうりという夏の野菜を遠慮して食べたらあかんというのは、ちょっと考えられへん発想やなと、なんでこんな発想ができたのかなと。祇園祭というのは、神様の力をもらってその力で疫病退散もあり、それからいろんな1年の厄除けを祈念するということだと思いますんでね。だから、遠慮するとか、食べたらあかんとかいう話は、私にとってはこれはおかしいんですよ。

八坂神社の神紋「唐花木瓜紋」

八坂神社の神紋「唐花木瓜紋」

画像提供:八坂神社

山鉾連合会の木村幾次郎理事長

山鉾連合会の木村幾次郎理事長

KLK なるほど、ごもっともなお答えをいただき有難うございました。 さて、野村宮司に前回お話をお聞かせいただいたときに、疫神を山鉾に集めて巡行の後すぐ解体をして疫神を蔵に閉じ込めてしまう。そして、また山鉾を建てる時に、1年後に残った厄が蔵から出てくるんじゃないかみたいな話をされてましたよね。

野村宮司「山鉾が疫神を集めるという解釈がどこから出てきたかいつの時代か分かりませんけど、山鉾が巡るようになってからでしょうね。祇園囃子で疫神を楽しませて山鉾で集めて回って、自分の町内に帰ってきてすぐに解体する。解体したのを、蔵に閉じ込める疫神も一緒に閉じ込めてしまう。また来年、蔵が開いたら、また疫神が出てくるじゃないですか。そういうことが物理的に考えられるのかどうかですが、そんなことが起こったとしても、祇園祭で疫病は鎮まるのかなあという私の思いです。」

八坂神社と山鉾連合会

KLK 山鉾が鉾頭や真松に疫神を集めてお清めをされているという通説を覆す新説が野村宮司から出ましたね(驚) では木村理事長にとっての八坂大神(ヤサカノオオカミ)様とはどのような存在なのでしょうか?

木村理事長「私は氏子なので、八坂大神様を『祇園さん』と言うんですけども、祇園さんに守られているんだなという。安心感というか、そういうふうなものは常にごろから持っています。私は生まれてからずっとこの氏子の中で育ったものですから、春になると『お千度』(※1)という形で、この八坂神社に町内の人こぞってお参りする。神社の周りをぐるぐるとお千度の札を持って回り、そういうふうなことで、子供の頃から八坂神社(祇園さん)とはいろんな形で精神性でつながっている。いろんな形で祇園さんには助けてもらっているし、これが一つの大きな自分自身の支えだろうなと思ってはいます。」

KLK 祇園さんの氏子の祭りだから祇園祭ですものね。その祇園祭における山鉾と神社の祭事との関係を野村宮司はどうお考えですか?
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