京都で一番の松

松には社寺の景観や静寂さを守る樹木としての役割があります。京都は町中に数多くのお寺がありますが、周囲が民家のことも多いですから境界に樹木があることで聖域が守られています。現代では、松への人々の関心が薄れているように感じます。しかし凍てつく寒さの中だからこそ映える松の木をたっぷり堪能できる冬の京都の松の風格をご覧いただきたいです。

そして、ここであえて、私が一番だと思う松は、やはり京都御所の松です。池や小川、橋などとの調和の取れた松、平安時代からの建築法で作られた建物とともに見る松、電柱や電線のない空間で、大きな空の下、松が並ぶ様子は、神秘的です。どの松も手入れが行き届いており清らかで青々と輝いているように思えます。御所を囲む京都御苑にも沢山の松の木があります。松以外の木々も立派で、木々を縫うように続く小道は気持ちよく、木を眺めているうちに今出川から丸太町まであっという間に歩けます。
松がこんなにも似合う町は他にありません。この町では松は探さなくてもあちこちで見れますから、今日から是非、松を眺めてみませんか?

参考文献
『京都 神社と寺院の森 京都の社叢めぐり』渡辺弘之著 ナカニシヤ出版
『縁起のよい樹と日本人』有岡利幸著 八坂書房
『松と日本人』 有岡利幸著 講談社学術文庫
「マツ」の話 池谷浩著 五月書房
『長唄の世界へようこそ』細谷朋子著 春風社
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この記事を書いたKLKライター

とも藤 代表
佐藤 朋子

京都市中京区の呉服店の長女として生まれ、生粋の京都人である祖母や祖母の叔母の影響をうけながら育つ。通園していた保育園が浄土宗系のお寺であったことから幼少期に法然上人の生涯を絵本などで学び始め、平安時代後期の歴史、文化に強い関心を抱くようになる。その後、浄土宗系の女子中学高等学校へ進学。2003年に画家の佐藤潤と結婚。動植物の保護、日本文化の発信を共に行なってきた。和の伝統文化にも親しみ長唄の稽古を続けており、歌舞伎などの観劇、寺社への参拝、院政期の歴史考察などを趣味にしていたが、2017年、日向産の蛤の貝殻と出会い、貝合わせと貝覆いの魅力を伝える活動を始める。国産蛤の⾙殻の仕⼊れ、洗浄、蛤の⾙殻を使⽤した⼯芸品の企画販売、蛤の⾙殻の卸、⼩売、⾙合わせ(⾙覆い)遊びの普及を⾏なっている。

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京都市中京区の呉服店の長女として生まれ、生粋の京都人である祖母や祖母の叔母の影響をうけながら育つ。通園していた保育園が浄土宗系のお寺であったことから幼少期に法然上人の生涯を絵本などで学び始め、平安時代後期の歴史、文化に強い関心を抱くようになる。その後、浄土宗系の女子中学高等学校へ進学。2003年に画家の佐藤潤と結婚。動植物の保護、日本文化の発信を共に行なってきた。和の伝統文化にも親しみ長唄の稽古を続けており、歌舞伎などの観劇、寺社への参拝、院政期の歴史考察などを趣味にしていたが、2017年、日向産の蛤の貝殻と出会い、貝合わせと貝覆いの魅力を伝える活動を始める。国産蛤の⾙殻の仕⼊れ、洗浄、蛤の⾙殻を使⽤した⼯芸品の企画販売、蛤の⾙殻の卸、⼩売、⾙合わせ(⾙覆い)遊びの普及を⾏なっている。

|とも藤 代表|貝合わせ/貝覆い/京文化

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