
あれ、そうゆうたら西陣ってどこなん?
西陣は伝え続けるべき先人の遺産
さて、かつては一大産業として隆盛を誇った西陣織にも、昭和の後期になると黄昏の時が忍び寄ります。私が現役宅配ドライバーであった30年近く前と比べると、西陣の地から織物関係の看板がずいぶんと少なくなったのは寂しい思いがします。もちろん産業に栄枯盛衰はつきもので仕方のないことです。しかし、文化は違います。文化は流行り廃れではなく、伝えるべきもの、遺すべきものです。
「上京区を代表するものが御所と西陣だとするなら、それはまさに京都の表徴である。上京は京都の町の典型であり、文化の原点であると言っても過言ではない」(京都市上京区ホームページより引用)と記されている通り、西陣織、そして西陣の町並みは京都の文化そのものであり財産だといってよいでしょう。不易流行、いつまでも変わらない本質的なものを大切にしながら、新しい変化も取りいれることを意味します。京都のあるべき姿を端的に表すコトバであり、西陣にはその「本質」があると思います。世の中は考えられないスピードで変化し、人々の暮らし方や働き方も大きく変わりました。しかし、京都人に不易流行の心持ちがある限り、西陣は守るべきもの、伝えるべきものとして、これからも京都の真ん中にあり続けることでしょう。
京都の地名由来辞典/源城政好・下坂守
京都の大路小路/森谷尅久
京都を楽しむ地名・歴史事典/森谷尅久
謎解き京都/読売新聞大阪本社編集局
西陣織工業組合オフィシャルサイト
上京区精密住宅地図/京都吉田地図株式会社
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「西陣がわかれば日本がわかる」という大胆な著書を上梓した京都と西陣をこよなく愛する生粋の京都人。
日本語検定一級、漢検(日本漢字能力検定)準一級を取得した目的は、難解な都市・京都をわかりやすく伝えるためだとか。
地元広告代理店での勤務経験を活かし、JR東海ツアーの観光ガイドや同志社大学イベント講座、企業向けの広告講座、オンラインイベント「ひみつの京都案内」などのゲスト講師に招かれることも。
得意ジャンルは歴史(特に戦国時代)と西陣エリア。自称・元敏腕宅配ドライバーとして、上京区の大路小路を知り尽くす。夏になると祇園祭に想いを馳せるとともに、祭の深奥さに迷宮をさまようのが恒例。
サンケイデザイン㈱専務取締役
|八坂神社中御座 三若神輿会 幹事|戦国/西陣/祇園祭/紅葉/パン/スタバ
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