アジアゾウは熱帯地方の動物ですが、さすがに京都の夏は彼らですら厳しいものがあります。そこで、氷のプレゼントのイベント。

氷はスポーツドリンクを薄めたものに果物を入れて凍らせてあるので、何か美味しそうなものが…と皆こぞって食べようとします。

ゾウは鼻や足をとても器用に使って食べ物を掴んで頬張るのですが、硬くてツルツルすべる氷は、なかなか思うように割れません。しかし、彼らは長い時間、さほどイライラもせずに楽しんでくれています。

冬場には普段は琵琶湖の水をためているプールに、隣接の熱帯動物館で太陽熱やボイラーで沸かしているお湯を注いで「ゾウ温泉」を開催しています。

とても寒い京都の冬でも、水遊びをして楽しむのですが、ホースのお湯は、ゾウ達にとってとても気持ちよいようで、喜んでくれます。

ゾウの繁殖プロジェクトと健康診断

京都市動物園とアジアゾウをいただいたラオス人民民主共和国の環境省との間で「ゾウの繁殖プロジェクト」を立ち上げ、ゾウの飼育・健康管理・繁殖技術の向上を図るため、ゾウたちの発達、行動や生理指標など、繁殖に関連する日常の基礎データを収集して共同研究を実施しています。

この写真は、2か月に1度の血液検査をスムーズに行うために、地道に日常的にトレーニングを行っている様子です。

血液検査のための注射は、耳に注射針を刺します。このためトレーニングは、針を刺す真似を繰り返すことで、実際に採血するときの恐怖心を取り除いてあげることなのです。

また、足のケア(診察や爪切り)のために4本の足を順番に上げさせる訓練だったり…。

つまり、健康診断のための受診動作を、ゾウが自ら協力することのトレーニングなのです。これをハズバンダリートレーニングと呼びます。


そして、健康管理の基礎、定期的な体重測定は最も大切な事柄です。特に、夏美ブンニュンは上手に体重計に乗ってくれます。

写真のように、エサを食べながらご機嫌に測定中です。

この日の体重は約1900kgでした。ゾウの体重計は、400万円もする高価な物です。元々はトラックの過積載の違反を量る「トラックスケール」、慈善団体の「京都ライオンズクラブ」からご寄付いただきました。

ゾウの健康管理をはじめ動物園の運営には、多くの方々の善意で支えられています。このように、日々の健康管理のデータや、繁殖に成功するまでの貴重な記録をデータ化して、近い将来、ラオス政府やラオス大学に提供することで、ゾウの生息地ラオスでの繁殖に京都市動物園が寄与することとしています。

京都には、とても素敵な動物園があります。いきいきした動物の様子に癒されますよ。どうぞ京都市動物園にお越しください!

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この記事を書いたKLKライター

京都市動物園 第31代 園長
片山 博昭

<略歴>
右京区副区長
建設局水と緑環境部 緑政課長
右京区まちづくり推進課長

<社会活動歴など>
技術士【都市及び地方計画】
日本造園学会 企画委員
日本造園修景協会 京都府支部長
生物多様性、まちづくり、地域活性化などの講演活動

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<略歴>
右京区副区長
建設局水と緑環境部 緑政課長
右京区まちづくり推進課長

<社会活動歴など>
技術士【都市及び地方計画】
日本造園学会 企画委員
日本造園修景協会 京都府支部長
生物多様性、まちづくり、地域活性化などの講演活動

|京都市動物園 第31代 園長|動物園/象/アジアゾウ

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