人のいない瞬間の撮影に成功。

石段(雨で滑ってちょい危険)を上りきると、手水舎で手を清め、さらに数段上ったところにある拝殿に参拝。
水に浸す式のおみくじを引き(結果は吉)、絵馬も書く(馬の絵や季節限定の青もみじ型もあったが、古典好きとしては和泉式部一択)。
 

御神木の桂の、細い幹がいくつも集まっている姿は「やっぱトトロに出てくる木っぽい」。

苔むした石が小雨に濡れて、一層艶やか。

ころんと丸いガラス製の「水まもり」を頂き(「お守りを買う」はNGだと最近知った)、さあ下りよう……と思ったら、「この先奥宮」という看板が目に入った。はて。


本来の貴船神社はもっと上流にある

手元のスマホでググってみると、本来の貴船神社はもっと上流にあり、1046年に水害に遭ったことから現在の場所に移ったのだという。
せっかくなら行ってみよ、ということで再びの山道。途中には縁結びで有名な中宮があり、和泉式部の歌碑も。

奥宮ゾーンでは御神木よりさらに迫力のある巨木群を眺め(「トトロ」より「もののけ姫」に近くなる)、清涼な空気を存分に吸って、来た道を戻ってきた。

行きはよいよい、帰りはきつい。

貴船口駅行きのバスの時刻は事前に確認すべき。この時は次のバスまで40分以上あった(付近に時間を潰すようなお店はない)ので、棒のようになった脚で駅まで戻った。

どうせ歩くなら帰りに鞍馬に寄りたかったが、残念ながらこの時はCLOSED。今では解除されているようだし、川床リベンジも兼ねて、雨以外の日にもまた訪れたいものである。

にしても、通信やガイド本が発達した現代では、名所を訪れてももっぱら「ネットで・テレビで・本で見た」の再確認になりがちだ。

(「己が目・己が耳で確認して、味わう感動」というのも決して無益ではないが)今回でいえば、人の寿命の何倍も生きる樹木を前に言葉を失う感じ、雨の川床を一片の切なさとともに眺める風情、そういった形を成さぬ経験なども大切にしつつ、散策を続けたいものである。

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この記事を書いたKLKライター

元国語教員の編集者
原 亜由美

 
生まれ育ちは九州の片田舎。中学2年ごろから『源氏物語』に親しみ、京都に憧れを抱く。

同志社大学文学部国文学科卒、京都大学大学院人間・環境学研究科 博士後期課程中退。
 
せちがらい就活に挫折していた折、高校時代の恩師の導きにより、地元の私立高校で国語科講師→翌年公立高校教諭に。
そんなデモシカ教員生活も5年目のある日「授業や指導より、プリント作っているときのほうが幸せやな」と気づき、教材編集者に転職+「好きな土地で余生を楽しみたい」との思いから、京都に再移住。
 
趣味は京都散策、文芸、漫画・アニメなどサブカル全般、ボイストレーニング、アクセサリー制作(ビーズ、刺繍、ガラス工芸等々)。
ドイツ史や刀剣の話も好む。

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原 亜由美

 
生まれ育ちは九州の片田舎。中学2年ごろから『源氏物語』に親しみ、京都に憧れを抱く。

同志社大学文学部国文学科卒、京都大学大学院人間・環境学研究科 博士後期課程中退。
 
せちがらい就活に挫折していた折、高校時代の恩師の導きにより、地元の私立高校で国語科講師→翌年公立高校教諭に。
そんなデモシカ教員生活も5年目のある日「授業や指導より、プリント作っているときのほうが幸せやな」と気づき、教材編集者に転職+「好きな土地で余生を楽しみたい」との思いから、京都に再移住。
 
趣味は京都散策、文芸、漫画・アニメなどサブカル全般、ボイストレーニング、アクセサリー制作(ビーズ、刺繍、ガラス工芸等々)。
ドイツ史や刀剣の話も好む。

|元国語教員の編集者|貴船神社/鴨川/源氏物語/観光地

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