「学区」単位でつけられていた旧市街地の番地

いきなり答を言ってしまいますね。
「20とか30とかの町でできた番地を束ねている謎の単位」とは・・・『学区』です!

京都市の旧市街地では「番地は『町』単位ではなく『学区』単位」でつけられているのです。最初に調べた菊水鉾町のまわり、1番地のある釜座町から最大番地のある笋町までの27の町は地図の(12)の範囲ですが、ここはぴったり「明倫学区」という学区に一致しています。
ちなみに前ページの地図の(1)~(15)までの範囲を言いかえるとそれぞれ次の学区になります。

(1)梅屋(うめや)学区    (2)竹間(ちっかん)学区(※) (3)富有(ふゆう)学区
(4)教業(きょうぎょう)学区(5)城巽(じょうそん)学区(6)龍池(たついけ)学区
(7)初音(はつね)学区   (8)柳池(りゅうち)学区 (9)銅駝(どうだ)学区
(10)乾 (いぬい)学区    (11)本能(ほんのう)学区 (12)明倫(めいりん)学区
(13)日彰(にっしょう)学区 (14)生祥(せいしょう)学区(15)立誠(りっせい)学区
(※ 読み方は中京区のホームページより、(2)は「ちくかん」と記載の資料もあり)

そしてあらためて地図を見るとどの学区でも北西の端にある町から順に番地をつけています。つまり「1番地がある町」とは「その学区の北西の端にある町」だったのです!(上京区の学区成立時の統合地域などには一部例外もあります)
ただ最後の番地の位置は学区の南東の端が多いものの例外もかなりあります。学区内の番地をつける順番も明倫学区のような「まず横の通りの両側町、次に縦の通りの両側町」という方法だけでなく、南北にくねくねと蛇行しながら番地をつけていく学区もあってさまざまな個性があります。

旧市街地での住所表示の上で「学区」の名前はいっさい表に出てこない、いわば影の存在です。でも番地はその学区を単位につけられているのです。

ホントに行方不明になりかけた「1番地」も…

ここでちょっと脱線。先ほどの地図で一つ不可解な場所があります。右上の(3)の個所、つまり「富有学区」です。ここはどう追いかけても「鍵屋町64番地」より下の数字にたどりつけないのです。つまり富有学区では63番地より小さい番地がごっそりなくなっているのです。実をいうと各学区の北西端の町にあることを知っていながら「1番地はどこへいった?」と書いていたのですが(笑)、冗談抜きで1番地が行方不明になった学区に出くわして、こればかりはあわてました(笑)。

ところが・・・意外な場所で富有学区の1番地は見つかりました。
それは京都地方裁判所のすぐ東の「桝屋町」、裁判所敷地内の弁護士会館が「桝屋町1番地」つまり富有学区全体の1番地だったのです(地図の黄色の★印)。でも富有学区の北西端の町はあくまでも鍵屋町で、桝屋町にある一連の番地は1番地とはほど遠い323~338番地です。この町内に突然1番地だけ現れるのです。富有学区の1番地は以前からこの場所にあったのでしょうか? 1番地を探しているとこんな謎にもぶつかります。

結局、最初に一乗寺地区でご紹介したように京都の新市街地は一つの「町」ごとに番地をつけているのに対して、旧市街地は町が20とか30とか集まった「学区」ごとに番地をつけていたのです。その結果、旧市街地には「上京区紙屋川町1049番地」のような4桁の番地も存在しています。京都では住所表記だけでなく番地のつけ方も新市街地と旧市街地では全く違っているのですね。

ということで、ずいぶんマニアックに走った「番地」の話題はここまで。
次回は旧市街地でこのような番地のつけ方になった理由も含めて、ここで姿が見えてきた京都の「学区」についてお話ししたいと思います。

<参考文献>
・今尾恵介『住所と地名の大研究』(2004 新潮選書)
(下京区で同じように町ごとの番地のつながりを調査されています)
・ゼンリン住宅地図 京都市4 中京区
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この記事を書いたKLKライター

京都の祭り・歴史研究家
小林 孝夫

 
京都市中京区生まれ、北区紫野育ち、民間企業に37年間勤務
祇園祭の魅力が忘れられず、定年を機会に埼玉県から帰郷、大学院に入学し民俗学を学ぶ
祇園祭を中心に京都の祭り・民俗行事、平安京の歴史、京都の地理・町の形成などを研究
京都府文化財保護課での祭り行事調査に参画中

現在、佛教大学非常勤講師、京都民俗学会理事、日本民俗学会会員

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祇園祭を中心に京都の祭り・民俗行事、平安京の歴史、京都の地理・町の形成などを研究
京都府文化財保護課での祭り行事調査に参画中

現在、佛教大学非常勤講師、京都民俗学会理事、日本民俗学会会員

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