僕は、竹屋です。どういう仕事なのかを、この回で詳しく書くことにします。

 簡単に言えば、あの丸い棒のような竹を売るという家業の四代目です。「竹を売る?って???」と思われて当然。普段の生活で「竹を買う」という経験をすることは想像がつきません。子供の頃の僕も不思議に思っていました、誰が竹を買っているのか?、を。フツーに考えて、『ありえない商売』です。
 

 竹を扱う仕事にも色々な分野がある中で、“銘竹問屋”の看板をあげています。
「銘竹?って?」と思われて、これも当然。聞き慣れない言葉です。お茶に“銘茶”があり、木に“銘木”があるように、高品位な竹を差す言葉としての“銘竹”。
 竹と聞いてまず浮かぶ色は緑色。そう思われて、またこれも、至極当然。なのですが、ウチにある竹のほとんどが白い色や茶色い色で、模様があったり奇妙な形をしていたり。


銘竹の種類をずらずらっと紹介してみると、

■節が交互に斜めに流れていて、亀の甲羅のように凸凹している【亀甲竹】。
■葺の家屋の屋根の支えに使われた竹が、200年以上、囲炉裏の煙で燻されて茶色になった、ある意味アンティークな竹の【煤竹】。
■真竹を油抜きしたもので、シンプル過ぎて、色や形でごまかしがきかない【真竹白竹】。スッピンの美しさ、なのかも。
■藪の中で立ち枯れの状態になり、良質な菌による細かな点々が表面に出た【胡麻竹】。
■孟宗竹の筍を木の枠の中で生長させ、断面を四角くした【角竹】。
■天然に黒い色をした【黒竹】や、雲のような模様を持つ【紋竹】。
■白竹に茶色の模様が現れた【浸み竹】や、天然の皺のある【しぼ竹】

等々、竹の種類で言うと15種ほどですが、
直径による区分やグレードによる区別があり、
バリエーションは相当な点数になってきます。

煤竹

煤竹

京都府は、条例に基づいて、京都を代表するブランドである伝統工芸品について、「京もの指定工芸品」として指定していますが、そのうちの一つが『京銘竹』。
ここで指定されている「京銘竹」の範疇に入るのは、【白竹・図面角竹・亀甲竹・胡麻竹】とされています。「工芸品」としての指定なので、【白竹】の美しく油抜き加工をする技術や【胡麻竹】の菌を付ける技術・【角竹】の箱の中で形成させる技術が指定の根拠になっているのだと想像しています。

白竹

白竹

胡麻竹

胡麻竹

もっとも、【亀甲竹】は、品種として独特の形状をしているだけで、なんの製造もされていないので、しいていえば、油抜き加工はされてはいるけど・・、工芸品であることには、多少の違和感を感じはしますが・・・まっ、それはそれとして。
植物である竹を、価値のある銘竹へと変化させる技術が、京都は長けている。なので、京都は竹の主産地となりうる。ということなのだと思います。

亀甲竹

亀甲竹

『京都が竹で有名なのはエジソンの御蔭ではないのか?』と詰問されると、「決してそういうことではないような気がします。」と答えるでしょう。
エジソンは、竹を炭化させたフィラメントを使って、白熱電球の実験に成功しました。世界中の植物をフィラメント候補にかき集めては実験を繰り返したものの上手くいかなかったところ、ふとした経緯で日本のタケに目を付け、日本中から色々な品種のタケ・同じ品種でも産地の違うタケ・同じ産地でも年数の異なるタケのサンプルを集めて実験した結果、京都男山の岩清水八幡宮のマダケでフィラメントが完成した、らしいです。
ストリートビューで見ると、確かに今も、石清水八幡宮の周囲は竹林で囲まれています。いつかまた、右手に一眼レフ・左手にスマホのマップを持って、見に行ってみます、もし気が乗れば。
京都のマダケが採用されたのは、硬質さが抜きんでていた事が理由。竹材が良材かどうかの基準の一つは、硬いかどうかでもあるので、はからずもエジソンが京都のマダケのアドバンテージをアピールしてくれていました。

京都の風土は良材の竹を産み、京都の技術は高品位な竹材を作り出す。では、その用途は、、、と、ここからが、本題だったのですが、次回に持ち越しします。 

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利田 淳司

銘竹問屋四代目・ギタリスト
利田 淳司(かがた じゅんじ)
◎1967年京都市生まれ。関西学院大学法学部卒。1915年創業の銘竹問屋・(有)竹平商店4代目、代表取締役。NHK「BEGIN JAPANOLOGY」「美の壺」などのメディアへの出演や「第8回世界竹会議」の開催組織委員・「日本人の忘れ物知恵会議」のパネラー等を務め、日本の銘竹の美を海外・国内に向け発信する活動を行っている。

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