この7月はKLK『伝えたい京都、知りたい京都』の祇園祭スペシャル月間。祇園祭に纏わる記事が集中的に掲載されています。
「祇園祭について竹屋が書くネタってなさそうかなぁ・・」と思っていた矢先、ふと、気付きました。
「あったわ!祇園祭と竹の相関関係が!」。そして、急遽、KLK祇園祭企画に参戦するべく、これを書いています。

辻回し

祇園祭に竹が絡んでいました。それも、目立つところに。

山鉾巡行は、四条通りを東へ、河原町通りを北へ、御池通りを西へ、新町通りを南へ、
そして再び四条通りに。最大の鉾ともなると10tを超えるとされ、それを40~50人の曳手で綱を持ち、前に進めます。2m近くある木製の車輪で、ビルのようなあの大きな鉾が動くのですが、ハンドルを切って曲がるようなことができず、進むのは直行のみ。しかし、市内を東北西南に一周する為には、4回、方向を変える必要があります。
 では、ステアリングのついていないクルマをどうやって90度に曲がらせるのか?
 そこに「竹」が活躍します。割った竹を車輪の下に敷き詰め、水をかけ、角度をつけて
引っ張り、竹の上を滑らせることで曲がらせる。それが『辻回し』です。

 以前、機会に恵まれ、鉾を曳くことができました。鉾のある場所へは歩いても行ける距離に生まれ、住み続けているものの、山鉾巡行というものをそれまで見たことがなく、初めて動く鉾を見たのが、自分が綱を持っているとき。背後で巨大な鉾が動いています。その光景、それは圧巻でした。
 そして、四条河原町の交差点。初めて見る辻回し。一度で直角に方向転換するわけではなく、三度、四度と力いっぱい綱を曳くことを繰り返し、方向を変えます。「力技で曲げるのか!」と、妙に感嘆した覚えがあります。

 竹は簡単に割ることができ、平らな状態に加工しやすいという特性があります。節はカンナで削れば落とす事もできます。が、それ以上に、その表皮が特殊です。竹は内部に油を含んでいる上に、表面が琺瑯質である為、つるつるしています。表皮には塗料が乗らず、油性マジックで書いても、爪でひっかく程度で簡単に剥がれます。そのような表皮に水をかけたりしようものなら、、、コントで見るバナナの皮、のようなものです。
 辻回しは、この竹の特質を最大限に発揮した使われ方なのでしょう。大きく重いものを滑らせることに、これほど適した自然素材は他に思い当たらないかも。

 京都の夏の風物詩の祇園祭。そこで重責を担う竹。そしてもうひとつ、夏を彩る竹があります。

七夕

七夕祭に竹が絡んでいました。それも、目立つところに。

願い事をしたため、祈りを捧げる仲介として笹竹はかかせません。竹の清涼感や笹のサラサラした音が、心を平穏にさせてくれるのかもしれません。

「地鎮祭」では、笹竹を4本立てて安全を祈願します。「十日えびす」では、枝笹に縁起物を取り付け、福を祈ります。

2~3ケ月で伸びきる驚異的な生長力・力強い地下茎を張り巡らし子孫を繁栄させる生命力・節目を乗り越えることに重なり合う、節を持つ形・抗菌性さえも持つ清浄さ、といった姿に、古来より日本人にとって竹は“魔除け・厄除け”であり、神が宿るものとされているとの説もあるようです。
どうりで、嵐山に行ってみて[Episode2参照]、竹林が神々しく感じられたわけだ!

夕刻から提灯が点灯され、コンコンチキチンが奏でられる宵山の京都は風情のあるものです。ススキのカンザシを着けた浴衣の君(♪by 吉田拓郎)と歩く祇園祭は、極上のデートスポットです。と、浮かれる前に・・・ 
その起源。1150年前の全国的な疫病を鎮めるために矛と神輿で始まった祇園御霊会。今も山鉾巡行と神輿渡御をし、災厄を鎮めるための一ヶ月に亘る祈りが続けられます。

実用的な側面で辻回しに使われている竹だけれども、竹そのものが厄除けでもある事を想うと、やはり、これほど適した素材は他には見つからないかも。

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利田 淳司

銘竹問屋四代目・ギタリスト
利田 淳司(かがた じゅんじ)
◎1967年京都市生まれ。関西学院大学法学部卒。1915年創業の銘竹問屋・(有)竹平商店4代目、代表取締役。NHK「BEGIN JAPANOLOGY」「美の壺」などのメディアへの出演や「第8回世界竹会議」の開催組織委員・「日本人の忘れ物知恵会議」のパネラー等を務め、日本の銘竹の美を海外・国内に向け発信する活動を行っている。

      
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