「光秀すごいやん!」

大河ドラマの感想ではありません、戦国シミュレーションゲーム「信長の野望」における明智光秀のデキル男っぷりへの喝采です。「おうち時間」が合言葉だったGW。せっかくなので普段あまりできないことをしようと「信長の野望」で久しぶりに夜明けを迎える時を過ごしました。そして、やりこむほどに光秀のスゴさを改めて認識させられたのでした。

「信長の野望」とは?

ご存じない方も多いかと思いますのでカンタンに「信長の野望」について説明しますね。プレイヤーは一人の戦国大名となって、他国との合戦を勝ちぬき天下統一を目指す。それが「信長の野望」です。合戦ゲームではありますが、経営シミュレーション的要素も盛りこまれています。たとえば、戦に臨むには経済力が必要で領内の産業振興が重要となります。また、他国との同盟や政略結婚など外交によっても大きく展開が変わります。さらに戦のためにムリな徴兵や増税をくり返すと一揆が起こるという芸の細かさ。これら様ざまな活動を戦国大名一人で実行するのではなく、部下となる武将たちをうまく活躍させることがポイントとなります。織田信長といえども、木下藤吉郎(のちの豊臣秀吉)や明智光秀、前田利家などの配下武将が働いてくれないことには何もできません。「信長の野望」とはそんな世界に身を投じるゲームです。

40年に迫る歴史を誇る「信長の野望」は2020年5月現在、15の作品が発売されています。その数ある中から今回プレイしたのは、30年前に発売された「信長の野望 武将風雲録」でした。初期作ではありますが、アンケートでは常に上位にランクされる人気タイトルで、私もお気に入りの作品でした。でも今回選んだのは好みの問題ではなく、大河ドラマの主人公・明智光秀の存在価値がもっとも発揮されるのは、この武将風雲録ではないかと思ったからです。

教養人・光秀を描いたゲーム

光秀は鉄砲術をはじめ武芸に秀でた武将でしたが、特筆すべきはその高い教養にあります。世界大百科事典には「彼は故実・典礼に通じ、茶の湯・連歌を好む理性的で教養豊かな武将だった」と書かれています。また、その教養を活かし「公家たちとの交渉にも鮮やかな手腕を発揮した」こちらは日本大百科全書に記載されていました。上洛により織田家と朝廷との交渉が増えはじめた時期と、光秀が歴史の表舞台に登場したタイミングが一致するのもナルホドです。

その「教養」をキーワードとして描かれたのが武将風雲録です。本作では外交や物資の売買にあたっては、実行武将の教養に比例した成果が得られます。教養の低い武将だと商人が取引を拒否するほどです。また鉄砲の生産など技術力を高める際にも教養が重視されます。

そうそう、言い忘れてました。教養がキーワードだけあって、武将風雲録ではお茶会が頻繁に開催されます。重要な話は公の場ではなく茶室という密室でなされるのが当時の常でした。まあ、現代でいえばゴルフ外交みたいなものでしょうか。そして、茶会に参加することで武将たちの教養度がUPする仕組みとなっています。さらにランクの高い茶器を使用するほど効果が高くなっていて、ゲーム内では大名たちが名器といわれる茶器の争奪戦を繰り広げます。これって、けっこう戦国をリアルに再現していると思います。松永久秀が名物茶器「平蜘蛛の茶釜」を信長に奪われるのを嫌い、茶器ともども爆死した逸話は有名です。

オールマイティ・光秀を体感

で、私がプレイヤーとしてなりきったのが、戦国の風雲児・織田信長でした。その感想が冒頭の「光秀すごいやん!」というわけです。何がすごいって?手はじめに行政官僚として内政をさせてみれば、新田開発や商業振興をサクサクと進めます。そして、ひとたび戦場に赴けば敵将をブッタ斬って手柄を立てまくります。さらに他国との外交や商人との交渉でも優位な条件を勝ちとります。このように光秀は内政、戦闘、外交の全方位で大活躍します。そら信長にも重宝されるわけです。

なかでも特筆すべきは外交面ですね。他国や商人との交渉では教養がモノをいいます。戦国の時代だけに戦闘に長けた武将は山ほどいますが、教養が高い武将は少ないものです。しかも、教養が高い武将は戦闘向きじゃないパターンが多い。なので光秀のようなオールマイティ武将は貴重な存在です。いわゆる万能選手なんですね。野球でいえば内野も外野も守れる、なんなら大谷翔平よろしくピッチャーもやりまっせみたいな。ドラクエの賢者のような存在です。

でも、昔このゲームをやってたとき、正直いって光秀にはまったく興味がありせんでした。やっぱり本能寺のイメージが強く「裏切り者のなんとなく辛気くさいオッサン」て感じだったので、あんまり仕事をさせてなかったような気がします。でも、それが当時の一般的な光秀像で人気のない武将でした。それが今や大河の主人公になるとは…。私も年をとったわけです。


数字が語る光秀の偉大さ

ここで光秀のすごさを数字で見てみましょう。信長の野望では、武将一人一人に色んな能力値が設定されています。たとえば武将風雲録では、政治力(ゲーム上では町を発展させる行政能力を意味します)、戦闘力、教養度、魅力度(家臣や民衆の忠誠度、外交調略の成功度に影響)の4つについて、100点満点で採点しています。ゲームメーカーのコーエー(旧・光栄)さん独自の採点ですが、マニアの間では武将事典として活用されるほど高い評価を得ています。このデータをベースに色々と分析してみました。

データはシナリオ2「信長包囲網」より抽出したため、1571年以降に登場する武将に限定されています。よって北条早雲、斎藤道三、今川義元などおなじみの武将が除外されていることをご了承ください。

表①は「教養度の高い武将ベストテン」です。皆さんけっこう知らない名前も多いのでは?それもそのはず、武将というよりは僧侶や茶人として名を馳せた人が多いからです。1位の本願寺光佐(顕如の別称)をはじめ僧侶が4人、茶人が3人、そして残る3人が今川氏真、明智光秀、細川藤孝となります。2位の今川氏真は今川義元の嫡男で、蹴鞠はプロ級の腕前だったとか。しかし残念ながら武将としての資質はゼロ。もう一人の細川藤孝(大河では眞島秀和が演じています)は当代一の文化人として有名です。そして残る1人がご存じ明智光秀なのであります。ちなみに、この中で大河ドラマの主人公になったのは光秀ただ1人です。地味な人が多いですからね。さて、こうして見ると教養があり、かつ武将としての資質を備えているのは明智光秀と細川藤孝の2人だけであり、両者が堅い絆で結ばれていたのもうなずけますね。もっとも、本能寺の変後の山崎の戦いでは、藤孝はアッサリと光秀を見捨てましたが…。

10人の中でもっとも京都から離れた地にいたのが、東北の雄・伊達政宗。「鄙の都人」(ひなのみやこびと/田舎の風流人)と称されただけあって教養度80と健闘しています。

なお、この話は光秀とは何ら関係ありません。すみません、単に個人的趣味で書きました。

つづいて表②は4部門のトータルスコア、つまり武将としての総合力を表します。こちらは皆さんおなじみの戦国スーパースターが勢ぞろいですね。10人中7人までが大河の主人公に選ばれています。その並みいる群雄の中で、光秀は堂々9位にランキングされ、秀吉より上位に位置しています。さらに黄色で示しているのが、4部門すべてで80以上のスコアをマークしている極上の七人衆です。ここまで絞っても光秀は名を連ねているのです。

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