僕の店は創業以来の一世紀強を下京区に居ます。なので「上京区×下京区」企画に応じて、安易に「下京区×竹」をテーマにしました。

が、しかし、テーマにしたものの、下京区に纏わる竹のネタも、ましてやオチも一向に思いつかず、とりあえず“下京区_竹”でgoogle検索。で、引っかかってきたのが「西本願寺の煤払い」。蜘蛛の糸をつかむような気分で、煤払いの写真をみてみると、ア~、畳を叩いているのは竹だったのか~。割った竹のしなる力を利用して、埃をはたきだす。
割り竹のしなり?弓だ!そして、下京区には、21代目にわたり弓を作り続けられている御弓師のお家もある。今回は、下京区が主題のふりをして、弓の竹の話にしよう!!!
 
 

和弓。あの弓も、実は竹なのです。

元々は木だけを貼り合わせて作られていたようですが、時代とともに変化し、戦国時代後期頃からは、ほとんどの部分が竹となり、その形式が現在も主流であるそうです。
表皮を落とし細く薄く削り角材にした“竹ヒゴ”5枚を貼り合わせ、その両サイドに側木と呼ばれる木を貼りつけた【弓芯】。これが弓の核となります。
弓芯を挟んで、両面に節のついた状態で裏面を削った割竹が貼られます。【外竹】【内竹】と呼ばれるパーツ。外竹と内竹が、表に見えている部分です。これで竹の三重構造ができあがります。

弓の製作は、まずは5~6㎝の竹を4ツ割にすることから始まり、繊維の通っている正面側の2枚を外竹用もしくは内竹用に、繊維がジグザグしている両側面の2枚を竹ヒゴ用に、という割り振りがされます。
この3層になった竹に120本もの楔を打ち込み、曲がりを付けることで、割り竹の持つ反発力という特性を最大限に生かした形、つまり弓の形が出来上がるという訳です。

竹の4ツ割図

竹の4ツ割図

正面が外竹用or内竹用。
側面が竹ヒゴ用。

竹の正面・側面って?

2段落前で、「竹の正面側・側面側」って言葉を使いました。そうなんです、竹には正面と側面があるのです。
竹を見て、真っ直ぐに見える側が正面で、節ごとにジグザクして見えるのが側面。簡単な見つけ方は、枝の出る面が正面。そして、見た目と同様、正面では繊維が真っ直ぐに通り、側面ではジグザグと流れています。

竹の正面

竹の正面

竹の側面

竹の側面

竹屋が竹を割る時。真っ直ぐに見える正面が残るように側面の中心にナタを入れます。
時計を竹に見立てて、0時を正面の点とした場合、3時-9時の方向にナタを入れる、という事です。4ツ割りは、更にそれを半分に割るので、時計で言うところの3-9時&0-6時、つまり+ [プラス]の形で割っていることになります。

3時9時の半割

3時9時の半割

プラスの四つ割り

プラスの四つ割り

ところがです。今回、弓の事を勉強しているうちに、竹屋的発想で4ツ割りにしてしまうと、弓に使えない、ってことに気付きました。先ほど書いたように、弓は正面と側面、つまり、時計で言うところの(時計の例えは便利~)0時・3時・6時・9時が要る部分で、そこが割竹の中心になります。
ということは、弓の場合は、時計で言うところの(時計、最高~)+でなく×[エックス]の形で割るのだ、と発見し、喜んでいる僕。弓師さんなら常識の事なのでしょうけど。

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利田 淳司

銘竹問屋四代目・ギタリスト
利田 淳司(かがた じゅんじ)
◎1967年京都市生まれ。関西学院大学法学部卒。1915年創業の銘竹問屋・(有)竹平商店4代目、代表取締役。NHK「BEGIN JAPANOLOGY」「美の壺」などのメディアへの出演や「第8回世界竹会議」の開催組織委員・「日本人の忘れ物知恵会議」のパネラー等を務め、日本の銘竹の美を海外・国内に向け発信する活動を行っている。

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