またこの駅は京津線廃止時に使われなくなった古い電車が、運行終了と同時に集結された駅でした。東西線への切り替えの前夜、翌日から使われなくなる9編成18両の古い電車が自力でここにやってきて生涯を閉じたのです。そして1両ずつここで解体されていきました。通常、廃車になった電車は車庫の奥やトレーラーで運び出されて人目につかないところで解体されるのですが、シートで目隠しをされていたとはいえ、三条通のすぐ横で解体され、単に駅がなくなるだけでなく、悲しい歴史の駅となりました。

廃線後、使われなくなった電車が集結(終結)した九条山駅

廃線後、使われなくなった電車が集結(終結)した九条山駅

日ノ岡駅(開業日は不明 平成9年10月廃止)

同じく御陵と九条山の間にあったのが日ノ岡駅でした。この駅も開業時の駅名は「日岡」でしたので、先述の九条山の「日岡」駅が休止になって、山科側に下りたところに「日岡」駅が出来たと考えるのが自然かもしれません。もっとも駅といっても三条通上にあった安全地帯の停留所でしたが、三条通の南側には小さな待合室があり、各停の電車が近づいてきたらそこから安全地帯に渡る乗客もおられました。

安全地帯だけの駅だった日ノ岡駅

安全地帯だけの駅だった日ノ岡駅

右折車が線路をふさぎ、待たされることがしばしばあった。

これは駅とは直接関係がありませんが、三条通を右折して渋谷街道に入る車が軌道内で止まると電車の運行に支障が出るので、京阪の職員さんが白いヘルメット姿で電車を通すために交通整理に当たっておられたのを覚えています。

日ノ岡駅の小さな待合室

日ノ岡駅の小さな待合室

3 近鉄(奈良電)

八条駅(昭和3年11月開業 昭和20年5月休止 同21年廃止)

近鉄京都線は昭和3年に昭和のご大典に合わせて開業した奈良電が前身ですが、その時、京都と東寺の間に八条という駅がありました。開業時は地上を走っていた奈良電ですが、京都駅を発車して八条通を斜めに渡ったところにありました。京都駅からすぐのところですよね。電車を待っている間に駅まで行くことが出来たのではないでしょうか。それで利用客が少ないこともあって、開業17年で休止になってしまいました。

京都市街全図(1941年 和楽路屋)の一部抜粋

京都市街全図(1941年 和楽路屋)の一部抜粋

八条駅が記されている

堀内駅(ほりのうち)(昭和3年11月開業 昭和20年12月廃止)

現在の近鉄丹波橋駅のことですが、昭和20年に奈良電と京阪が京阪の丹波橋駅を介して乗り入れを始めると、不要になり廃止されました。もっとも貨物電車の側線としては利用されていました。昭和43年に相互乗り入れが解消されると、「近畿日本丹波橋」駅として生まれ変わることになりました。

 

木津川駅(昭和4年7月開業 昭和49年7月廃止)

京都市内から離れますが、せっかくですのでふれておきます。新田辺の手前の木津川には長い鉄橋が架かっていますが、あの下は奈良電自身も力を入れた水泳場でしたので、夏の水泳シーズンのみ開設される臨時の駅がありました。文字通り木津川駅です。奈良電の開業が昭和3年11月ですが、翌4年の水泳シーズンには開業しています。木津川鉄橋の新田辺側のところにありました。昭和20年に休止され、廃止の手続きもとらえたようですが、戦後、昭和23年7月に復活、同40年のシーズン終了後に休止、同49年にふたたび廃止されました。私も子どもの頃にこの水泳場に連れてもらったことがありますが、電車も含めあまり記憶に残っていません。

 

4 阪急(新京阪)

物集女駅(昭和21年2月開業 昭和23年3月廃止)

桂~東向日間、戦後すぐに短期間だけあった駅です。現在の洛西口付近にあった駅で、当時の主要な軍事工場であった三菱重工業(現陸上自衛隊桂駐屯地)への工員輸送のために計画された駅でしたが、開業したのは終戦後で当初の目的は達せられませんでした。なぜあの場所で物集女(もずめ)駅と付けたのかがわかりませんが、もう少し西の物集女の方に行けるというという意味だったのでしょうか。もっとも、戦後の買い出しであのあたりに出向くために利用したという話も聞いたことがありました。


 

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この記事を書いたKLKライター

鉄道友の会京都支部副支部長・事務局長
島本 由紀

 
昭和30年京都市生まれ
京都市教育委員会学校指導課参与
鉄道友の会京都支部副支部長・事務局長

子どもの頃から鉄道が大好き。
もともと中学校社会科教員ということもあり鉄道を切り口にした地域史や鉄道文化を広めたいと思い、市民向けの講演などにも取り組んでいる。
 

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